第19話 エピローグ
こうして私達は侯爵家から王城へと再び引っ越しを始めた。城へ入り、陛下との謁見では世話をかけたと謝られたわ。
そして陛下はアインスそっくりなハルトを一目見て喜んでいたわ。
城に住み始めてからレイナ様の子達に母親として初めてあったの。母親を知らずに過ごしていたから警戒されたけれど、少しずつ打ち解けてきている。
私とアインスは午前中は執務に取り組み、午後は子供達と一緒に過ごす事を選んだ。もちろん食事も可能な限り全員で摂る事にしたの。偶に陛下や王妃様も混ざって食べている。食事の時間はとても賑やかで陛下達も嬉しそう。侍女達は子供達に付いて大変そうだけれど。
ハルトは優秀で4歳にもなっていたからレイナ様の子供達と母親が違う事にも気づいていたわ。けれど、家族全員で過ごしていくうちにレイナ様の子供達を家族として受け入れてくれている。本当に有難い。偶に怖い夢を見ると言って夫婦のベッドに一人で潜り込んでくるのはご愛嬌。
そうそう。マイア様はと言うと、離婚後すぐに伯爵家に嫁いでいったわ。公爵家も豊かになったけれど、伯爵家はそれ以上に豊かになっているみたい。
夫婦で隣国によく行くのだとか。子供も出来たようで今は領地にいるみたいだけど、動き回りたくてウズウズしているのが目に見えるわ。
レイナ様はというと、今はひっそり塔に幽閉されている。アインス様に無理矢理服用させていた薬はレイナ様自身にも影響が残っていたようで後宮に入った時に騎士を誘い、襲おうとしたのだとか。
アインスに薬を盛って衰弱させた事はやはり罪となった。レイナ様の親である公爵は幽閉されている娘に会いに行ったのだが、娘の荒れ狂う様子や男を求める姿にショックを受け、抗議はしなかった。
子供の母親でもあるから幽閉にはなっているけれど、子供達の為にやはり病死になる予定らしいわ。
王子達はスクスクと育ち、ハルトが4人の中で一番覚えめでたく、陛下を始め貴族達から王太子に望む声が日に日に強くなっている。本人も望んでいるようなので一安心だわ。
レイナ様の産んだ王子達は騎士、外交官になりたいと日々勉学に励んでいる。レイナ様の事は一言も口にする事は無いけれど、『何処までもハルト兄に付いて行く』と、争う気は無いみたい。
私の2人目の息子、アーサーは1番年下という事もあり、世渡り上手なようだ。見事におじいちゃん子に育ってしまったわ。父もアーサーを溺愛し、将来の侯爵家の跡取りとして喜んでいるの。
「カーナ、愛している」
今日もまた私達はベッドで身体を寄せ合いキスをする。
「アインス、こんなにも愛されているとバンバン子供が出来てしまいますわ」
「好きなだけ産んでも大丈夫。君のお陰で国も豊かになったし、国庫も今までにないほど潤っている。それにもうすぐハルトが立太子となるんだ。ああでも、早く隠居して2人で国内中を視察旅行に出るのも良いね。そのためにもぶつくさ文句を言っている親父にはもう少し元気でいてもらわないとね」
「アインス、愛しているわ」
「カーナ、愛しているよ」
私達は抱き合いキスをする。
【完結】側妃になってそれからのこと まるねこ @yukiseri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます