極限の想像が生み出す、極”幻”の宇宙劇

 はっきり申しますと、ここ最近カクヨムで読んだ作品の中で、本作はダントツの面白さを誇る短編です。なのに……、なのに、信じられない人もいるかも言しれませんが、この小説を読み終えた後の感想といえば、「爽快」の一言しかないのです。ええ、もはや内容など覚えていません。そんなこと言ってしまうと普通の作品には失礼に値しますが、どうやらこの作品からは「それでいいのです」との声が聞こえてきそう――

 と言ってもやはりそれだけではレビューの意味が無いので少し説明しますと、まず本作は①宇宙の仕組みを快刀乱麻します。そして②この宇宙に救う魔物を見出し、③科学とオカルトと宇宙怪獣バトルが混ざり合うという、なんとも混沌たる様であります。はい。
 確かに地の文はかなりとっつきにくいことが書かれているかもしれませんが、物語を楽しむ分には必要ありませんし、何よりオカルトが出てくるので、ハードSFに見せかけて、意外とコメディだったりするのかもしれません。個人的には普段SFを読まない人にこそ読んでみてほしいものです。たまには時間・空間軸でぶっとんだ作品を読んでみては?

 最後に。この作品は、驚くべきことに八千字しかありません。それっぽっちの「情報」だけでこれだけの設定と宇宙劇が繰り広げられていたのかと、舌を巻く限りです。