Three Colored

@kinohina

第1話 この場所が

相変わらず蝉の声が鳴り止まない。湿気のせいか露になった四肢にまとわりつくようなこの暑さにはもう慣れた。とりあえず左手にはハンディ扇風機を持っているけど効いている気がしない。というか最早邪魔だ。部活終わりの昼下がり、いつもとなんら変わらない駅までの道。でもここ数週間は今までの日常とはちょっと違うルーティンがある。駅と学校のちょうど中間地点くらいにあるコンビニに立ち寄る。クーラーの効いた空間というワンクッションを挟まないと駅まで辿り着けない。と言うのは建前で、もちろん理由は別にある。先月引退した3年生がここでバイトをしているからだ。いわゆる憧れの先輩ってやつ。

入店したら決まってレジの直線上にある飲み物コーナーへ一直線。私、気づいてますよ、先輩。レジ打ちする振りしてこっち見てますよね?チラ見でもわかるんですよ。そりゃ先輩くらいの人だから付き合ってる宣言してある女子を2人くらい(?)噂で聞いたことがあるけれどそんな根も葉もない噂は私には関係ない。私、わかるんです。この視線はホンモノだって。

「イラッシャイマセー」

…?

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