第3枚目【来い来い来い!!二分の一なんて簡単なんだよ!】
ご機嫌はいかがかしら? 下界にいる下々の諸君。
こんにちわ、
もう、三話目にもなったし前口上は割愛させて貰うわ。
さっそくだけど人間界は良いものね。
だって便利さに溢れているもの。
今時ネットでポチれば、後日には欲しいものが手元に届く。
背中に翼がなくとも飛行機がある。
お金が無くともリポ払い?なるもので好きなだけ買えるし、女神長に言えば給料も前借りできるし……
「全く良い時代になった物だ――アハハハハハハッ!!!」
『ちょっとお隣さん~? 奇声発してなにしてるつもり? 今日も五月蝿いんだけど!!?』
「すみませ~ん。ごめんなさ~い。気を付けままます~」
そんなこんなでお隣さんからの苦情により、外出を余儀なくされた私。
しょうがなく行き付けの博打店へと足を運んだ。
★
〝博打店・
「よぉ、姉ちゃん。また来たのか? 今日は何をやる?」
「私は女神だ。運は良い方だからね。ちょ~はんってやつを頼むよ」
〝丁・半〟
簡単なルール説明
壺に入れたサイコロを二つ入れ振る。
中の合計値を当てる。
半(半端な数字)3.5.7.9.11
丁(丁度良い数字)2.4.6.8. 10.12
以上。
「勿論、壺に細工はない。入れたぜ」
『カラカラカラッカラカラカラッ』
「さぁさ、張った張った。姉ちゃんは丁か半の好きな方を賭けな」
「丁! 嫌、半! 半に私の光熱費を賭ける。私は命の3万を場に出すぜ!!」
「あん? 女神様とあろうお方がそんなちっちゃい投資でいいのか?」
あん?何だこのハゲ親父め。
この私を煽っているのか?
そんな手には乗らな――つ、つ、つ、追加投資~。
私は
どうだ、店主よ!
貴様の店もろとも傾けさせてやるぜ!
「おっ七万? ということは、合計十万。勝てば倍の二十万。はぁ……そんな掛け金で明日が生きれんのか? ドーンとでかくいこうぜ?」
くぉんのぉ~タヌキ親父めぇ!
足元を見てるんだな?
それで良いんだな?
私を本気にさせてことを後悔させてやるかんな!?
『ドドドーンッッ!!!』
「さぁ、私の給料前借り分の五百万でどうだ……はぁはぁ」
「よっ、良い男気だ! おじさんもお店を賭けちゃおうかな!!」
「では!」
「いざ!」
「「尋常に!!」」
『カラカラカラッ――スッ』
『5・4』
「やったやった! 半だ! 半端なく嬉しいんですけど!!」
興奮のあまり背中に収納していた両翼が勢い良く羽ばたいた。
店主の顔面が崩壊する程の強烈な風を撒き散らす。
『ビュオ~、バサバサバサバサッ』
「あっ私のサイコロ! サイコロはどこ(゜Д゜≡゜Д゜)!?」
慌てて探すレミリシャルだったが、店主の手が肩を触る。
「なぁ、それどころじゃないだろ?」
「は? 私の勝ちだから一千万とお店をくれ――」
振り向けば般若がそこにはいた。
その後、店は屋根や壁が吹き飛んだせいで半壊。
落胆するレミリシャルと、かつらの脱げた店主だけが取り残された。
数名いた他の客は重軽傷を負い病院へ搬送。
治療費、及び倒壊した建物費用、賭け費用もレミリシャルが支払うことに。
――某、橋の下にて。
天界なら雲のベットで日向ぼっこもしていたが、スーパーの段ボールも温かいものだ。
電気代も掛からないし、水だって目の前にある。
食料だって、公園の鳩を襲えば食パンだって食えるしさ。
そんなことを考えながら、ラジオから流れるニュースを聞いていた。
『本日夕方に○○県にて殺人事件が発生致しました。被害者とされる〝半間勝三〟さんは、知人の結婚式へ向かう途中に女児を助けた際に刺されたと見て捜査を――』
「あ、現場すぐそこか~物騒で怖いよねぇ。
こう言うのは異世界転生には持って来いだよね。だけど……名前が気に食わん」
「来世で頑張れ。若者よ。信じた神は残酷だぞっと」
〝異世界転生者管理・勇者転生救済処置課〟に所属する――女神――レミリシャル。
この日は、せっかくのチャンスを棒に振って寝しましたとさ。
めでたしめでたし。
【遊戯内容→丁・半】
【本日の収支】
投資額
回収額 ミントキャンディ鷲掴み分
これまでの負け額 諭吉様→六三十四人+建物補修代
これは女神であるレミリシャルが仕事を少しだけしつつ、ギャンブルにのめり込みながらもほのぼのと過ごす……そんなお話である。
★
拝啓
先日、五百万円のご入金を確認いたしました。
が、羽が生えて飛んでいってしまいました。
人間界にも天使っているんですね~
アハハハハッ……。
次は大事に使いますので、あと少しだけ……情けを下さい。
せめてもの御慈悲を。
by.そんな状態で大丈夫な女神―レミリシャル―より
PS.生まれて初めて翼があることを呪いました。失礼ですが着脱式とか出来ませんか?
何時如何なる場合においてもあなたが私を負かすことは絶対にありえないんだからね!? 泥んことかげ @doronkotokage
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