第47話 結婚式

 エリクソンさんが


「メイソンくんが逃げ出したからどうしようかとは思ったけど、決心はついた用だね」

「はい」


 ルーナとクロエに囲まれながら俺は頷く。


「クロエを頼むよ」

「ルーナも頼む」

「はい」

「じゃあ式だが、今日には上げる予定だから」

「え、今日ですか!?」


 流石に早すぎない? いや、ルーナとクロエがウエディングドレスを着ていたから、もしかしたらとは思っていたけどさぁ......。すると、エリクソンさんとロンローリさんが圧をかけてきながら


「「いやかい?」」

「是非よろしくお願いします」


 ここで断れるつわものとかいないだろ......。


「そう言えば、メイソンくんの両親はどこにいるんだ?」

「それは......」


 俺は両親の件を話し始めた。生まれてこの方、両親とは一度もあったことがない事。そして俺は孤児として育てられて、ランドリアの王宮で鍛えられてロンドたちと出会ったこと。


 すると、エリクソンさんたちは


「そうなのか。じゃあ結婚式には呼ぶ人はいないね」

「そ、そうですが、一応は確認ですが大丈夫ですか?」

「何が?」

「だって、孤児と王女が結婚ですよ!?」


 そう。普通こんなことあり得るはずがない。平民と上級貴族が結婚することすら珍しいのに、王族と孤児なんて天と地の差がある。

 

「あ~。それは大丈夫だよ。君は英雄なんだから」

「そうそう」

「そ、そうですか」

「もしかして、ルーナが嫌と?」

「え? クロエが嫌だって?」


 なぜか二人からまたしても圧をかけられる。


「それはありませんよ。お願いします」

「そうか。それはよかった。じゃあ着替えてきなさい」


 エリクソンさんがそう言うと、ルーナとクロエが両手を離してくれ、別室に案内されてタキシードに着替える。そして、王室に戻ると、ルーナとクロエが驚いた表情でこちらを見てきながら


「似合ってるよぉ......」

「似合ってる」

「ありがと。言うの遅れたけど、二人とも似合ってるよ」


 二人の元へ駆け寄って手を繋ぐと、エリクソンさんとロンローリさんが


「「じゃあ結婚式を始めようか」」


 そう言って、外へ出た。



 すでに準備されていた壇上の前に立ち、二人にもう一度確認する。


「本当に俺でいいのか? 俺って優柔不断だし......」

「いいの!!」

「そうよ。それも踏まえて私たちはメイソンを好きになったんだから」

「そっか。ありがとな」


 俺が頭を掻きながらそう言うと、二人が


「逆に私たちでいいの? メイソンならもっといい人が見つかるかもよ?」

「そうよ。私たちは嬉しいけど、メイソンは......」

「俺は二人じゃなくちゃ嫌だよ」

「えへへ」

「そっか」


 すると、神父が結婚の誓いを言い始めて、結婚式が進んでいった。そこからあっという間に誓いが終わり、来てくださっている人たちと話し始めた。


 まずロンドとシャイルの元へ行くと肩を組まれながら


「お前が先に結婚するとはな!! それも美女二人とは羨ましいぞ!!」

「そうだぞ。俺なんて結婚してくれる人が居るかわからないのによぉ」

「あはは。二人ともありがとな」

「あぁ。こっちこそお前が幸せになってくれて嬉しいよ」

「え?」


 その言葉に驚きを隠しきれなかった。


「俺たちがお前の人生をめちゃくちゃにしたのは事実だ。だからこそ、お前には今後の人生で幸せになってほしかったんだ」

「もういいって」


 気にしていないと言えば嘘になる。だけど、それ以上にロンドたちには助けられている。だから二人の肩を叩きながら


「ロンドとシャイルも困ったことがあったら声かけろよ」

「あぁ」

「もちろん」


 その後、少し話していると、エリクソンさんとロンローリさんがこちらへやってきて、


「結婚おめでとう。ルーナを頼むよ」

「クロエも頼む」

「はい。任せてください」

「じゃあ、また今度三人で話そうじゃないか」


 そう言って、この場を去って行った。その後、リリエット義母さんとユミル義母さんと話し、ルーナとクロエの弟であるルッツやエークと少し話してルーナとクロエの元へ行くと二人が抱き着いてきながら


「「これからよろしくね!!」」

「あぁ」


 こうして結婚式が終わった。



 三人で王室へ戻って寝た後、ふと外に行きたくなって出ると、そこにはガイルさんが立っていた。


「お! 結婚おめでとう」

「ありがとうございます」

「今回も悪かったな」

「いえ、それが仕事ですので」


 そう。今回もガイルさんが頼んできた一件から始まったけど、それが無かったら俺は結婚と言う決心がつかなかったかもしれない。それ以外にもいろいろと助けられている。だから、なんやかんやこの人には感謝しても仕切れない恩がある。


「それでだが、一つ言っておかなくちゃいけないことがある」

「なんですか?」

「簡単に言えば、世界の秩序が崩れ始めている」

「え?」


 それって、ガブリエル様が言っていたことか? でもそれって、後数年はあるって言っていなかったか?


「今回の一件でエルフ国は免れたが、噂によると魔族の英雄が蘇ったらしい」

「は?」


(魔族の英雄ってなんだよ......)


「だから、それの調査をしてほしい」

「......」

「今返答が欲しいわけじゃない。ゆっくり考えてくれれば」

「はい」


 この時の俺はまだ魔剣グラムの真の力、そしてガイルさんに言われた魔族の英雄がどれだけやばい存在だったか知らなかった。



 その時、英雄神は

 

「やっと、メイソンもここまでたどり着いたか。これであいつを......」



リアルが忙しくなってきたため、一旦ここで更新をストップさせていただきます。


また、更新を再開しましたら楽しく読んでいただけると幸いです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【書籍化決定】略奪使いの成り上がり~追放された男は、最高の仲間と英雄を目指す~ 煙雨 @dai-612

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ