――――――陸――――――
こんなとこで、死んでたまるか。
見なきゃ……
―――ああ、そうだ。
最近は意識しないと見えなくなったんだ。
本当は見えているのに、見えないフリ。
視界のコントロール。
俺は今まで、無意識の内にやってた。
( 俺の得意分野じゃねえか!!)
『!?貴様、なぜ動け――』
―――ドカッッッッッ!!
圭一郎の全力の
『ぐっ』
(……さすがにこれじゃ、祓えないか)
その
『ぐあああああああ!!』
銀色の光の
門に人影が2つ。陰陽連の術士が、到着したのだ。
「……祓い浄め給え――急々如律令!」
『ガァアああァァアアア』
カッ、と
次の瞬間には、
特級の断末魔が、圭一郎の耳にいつまでも残った。
・
・
「えらいけったいな気配やと思って来てみれば……
濃紺の和服に、
「……誰だ?」
圭一郎は小声で
「
(――ってことはこいつが
(……
長い沈黙の後、
「面白いもん、見せてもらいましたわ」
清崇は不敵に笑うと、カラン、と下駄を鳴らして去って行った。
・
・
・
小金井は命に別状はなく、
千年の結界が破られたこの事件は、術士界を大きく騒がせ、征志郎もしばらくの間、会議やら
そして、圭一郎の心境にも変化をもたらした。
――圭ちゃん、征志郎さんとちゃんと
あの後、
そうなのだ。圭一郎は、跡を継ぐ、継がないの話が出るのが嫌で、父親と話すことを避けてきた。
「――無理に跡を継ぐ必要はないぞ」
だから
「私はそこまで血族にこだわってないからな。今は分家や民間人のスカウトもある。お前が嫌なら……」
「いや、俺やるよ」
俺は、特級を前に何もできなかった。
泉穂が来なきゃ、死んでた。
せめて周りの人間くらい、守れるように。
――それに、
「……陰陽師は、強い精神力が必要だ。心に弱さを抱えていては、闇に飲まれるぞ」
覚悟が決まったような圭一郎の目を見て、征志郎はフッと微笑んだ。
「そうだ、圭一郎」
部屋を出かけた征志郎が、思い出したかのように振り向く。
「いつも
――彼の陰陽師としての人生は、ここから始まる。
【序章】Antinomy―六芒星の彼方― 赤蜻蛉 @colorful-08
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