――――――伍――――――
「……それってやばいのか?」
「やばい……なんてものじゃない」
泉穂が説明した内容をまとめるとこうだ。
――物の怪や妖怪が住まう世界は、「
「彼の岸」と「
特級の
かの「
その一つが、
「結界術の天才が、命と引き替えに張った最強度の結界だ。以来1000年、特級が此の
しかし今日、その結界は破られた。
虚無僧は、
「ここへ来る前に応急処置で結界を張ってきたけど、特級レベルともなるとザル同然だろうね」
「!……ってことは――」
「――ああ、出てくるよ。
圭一郎は、事の深刻さを理解した。
もしこの現代に、
「どうすんだよ」
「
要するに絶望的な状況ということだ。
「さっき
「……なんだよ」
「
泉穂は今、3つの
「よりによって征志郎さんの留守中に……タイミングに悪意を感じるよ」
泉穂の頬には、いくつもの汗が伝っている。
「
「可能性は高い。そもそも結界を彼の
「……此の
「おそらく。君を殺せば蘆屋家を根絶やしにできる。
「……つまり俺は、
泉穂は答えない。
(―――ああ、やっぱり腹が立つ)
「泉穂、結界を解いてくれ。俺が祓う」
「無理だ。アレは特級だよ、いくら圭ちゃんでも……」
「お前が落ちたらどのみち死ぬだろ。既にしんどそうじゃねぇか」
邪気が濃くなり、空気がズシリと重くなる。
迷っている時間は無かった。
「来たな。泉穂、頼む」
「……分かった、援護する」
十数メートル先に、虚無僧が現れる。
ふらり、ふらりと、こちらへ近づいてくる。
「今だ!」
僧が目の前を通り過ぎたタイミングで、泉穂が結界を解いた。
(
圭一郎は、
その気配に一瞬早く気づいた僧が、顔を覆っていた
「!!」
圭一郎の動きが止まる。
「圭ちゃんだめだ!見るな!」
――分かってる。
目を逸らしたいのに、逸らせない。
(おそらくこれは力の強い人間ほど
ゴォォォォオオォオオオ
僧の顔面の穴が、渦を巻く。
(呪力……だけじゃない、生気を吸っているのか)
「圭ちゃん!」
僧が
(クソッ!視線さえ逸らせれば…)
圭一郎は、徐々に意識が遠のいてゆくのを感じた。
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