あとがき

 もしも、うつ病に罹らなかったら何をしていただろう。何ができていただろう。


 時折、そんなことを思うときがある。


 誰だって健常者でありたい。私だって同じだ。今のこの心身状態を肯定する気は毛頭ないし、こんな身にした色々な存在に怒りをぶちまけてしまいたい。


 復讐を考えるなんて馬鹿げているとか、そんなこと気にする暇があるならほかにエネルギーを使ったほうがいいとか言う人もいるだろう。


 だけど、私は聖人君子ではない。許せないものは許せない。この身に降り注いでいる理不尽極まりない病状による苦しみの爪の垢を、こんな心身に仕立て上げた輩どもに飲ませて痛み分けさせたいと切に願っている。


 きっと彼らは、何食わぬ顔をして普通の生活を送っているのだろう。私のことなど、もはや忘れてしまったのかもしれない。


 私も忘れてしまいたい。しかし、忘れられないのだ。


 あの耐え得がたい苦痛の日々は、時代を越えて今も心身を蝕み続けている。これは綺麗事では抑えられないものだ。なった者にしかわからない苦しみだ。


 しかし、受け入れていくしかない。うつ病になった現実を。どうにもならない現実を。


 ならば受け入れてやろうと思っている。受け入れる代わりに、私は私のこれからの人生でしか築けないものを築いていこう。


 それは他の人から見れば惨めなものかもしれない。情けないものだと指を差されるものかもしれない。


 それでもいい。私が私自身の人生に、最終的に花丸を付けられる人生であれば、それでいいのだ。


 私の経験談を聞いて、心の琴線に触れる何かがあるのならば、それだけで私は生きた証を築けたと言えるはずだ。


 肯定される人生を送っていけているとは言えない。だけど、否定をされるような生き方でもないはずだ。


 いるだけでいい。


 ここにいるだけでいい。


 それで充分。いるだけで幸せだ。


 派手な生き方でなくていい。


 野に咲く一輪のたんぽぽのような、ただそこにいるだけでふっと口元を緩めれるような、そんな人生で在ればいい。


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うつ病との、つれづれ 青山モカ @coffeemocha8

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