ROM*3

物語に始まりと終わりがあるように、仮想世界の中の人生は決まっていた。まるで、ROM（読み取り専用メモリ）と同じように書き換えることも無く、決まったデータのとおりに時間も人生も流れるのだった。

仮想世界の常識として、自分がどうなるのかというのは決まっていた。ただ、決められた答えがある過程を自由に楽しむというのがこの世界におけるものだった。

そんな中、主人公の青年は自分が明日　いじめられて死ぬことが理解っていた。カウントダウンされるような恐怖に怯えながらもどこか他人事のようにも思っていた。だが、当日　いつまで経っても結末が来ないことに疑問をいだいていると、見覚えの無い少女が青年に近づいて言う。
「シームレスに繋がったこの世界は、結末だって変えられる。ここはあくまでもリアルの創造なのだから」
…続きを読む