ROM*3

東雲夕凪

第0話 Read Only Memory.

2000年冒頭。通信規格やネットワークのプロトコル。様々なモノが今よりも少なかった頃、夕凪都市大学によって開発された一つの概念(=プロトコル・システム)の誕生によって「仮想現実」と言うものが現実に誕生した。


始まりは、無機質で黒の空間に漂うに存在する人形の何かだったと思う。


感情や表情は無くて、ただマネキンのようにリアルな世界からの操作に反応する植物のようなものだった。時代が進むにつれてアニメやゲームのようなモノが出来上がり、今ではもう一つの世界と言ってもいいくらいにはなった。画面越しの向こう側に自分がいて生活をしている。その光景は鏡越しの自分が動き出すくらいに不気味であり面白くもあった。ただ、一つ違うのは彼ら・彼女らの人生はシステムの成約のために予め決められているということだ。


仮想現実のシステムの構築の段階で、始まりと終わりが存在する。いわば、プログラムの始端と終端と同じものだ。いくら、プログラムがループを繰り返そうと終わりがあるのだ。 そして、その他にもサーバの容量などの問題もあって仮想現実上の存在は終わりが定められている。その決め方はシステムとの整合性もあってAIによって決められていた。仮想現実上での死に方とでも言えるかも知れない。




残酷なことにその事を彼らは知っている。自分の人生という物語を読み終えている状態なのだ。故に、終わりの近い存在の中には画面越しでもわかるくらいに怯える状態であったり、怖さのあまり狂う者もいたりする。




だが、物語は反逆する。



主人公の青年は、突如として現れた少女によって物語を無視した未知の時間へと導く。


その理由は?


そして、彼女の正体は一体何者なのか。物語は描く。

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