幸せとは何なのか。クジラがどうのこうのと夢見るよりも、勉学に励むことの方が主人公のためになると信じている両親。終わらない。ゴールが見えない。もう自分はとっくに死んでいると思った大弥は、クジラが打ち上げられた浜へと向かう。そんな中、幼馴染の元夏は、大弥がかつて好きだった「空を飛ぶクジラ」のことを話し……かつて憧れたその光景は、存在しない。けれど視点を変えれば、そう見ることは出来るかもしれない。どこでも泳げる、どこまでも行ける。そう信じて行って欲しい。
夢を持ち上げ続けていたら腕が疲れてくる頑張っているのにただの足掻きに感じて不安になるだから彼女のハッとさせる言葉は視点を変えてくれたそうかたとえ沈んで遠ざかっても夢見る気持ちを忘れなければそのぶん焦がれる思いは強くなるまだ死んじゃいないチャンスはまだある
一文一文のセンスに痺れました。クジラが大好きなので尚更…。素敵な物語をありがとうございます!
勉強漬けに毎日に、行き詰まりを感じる中学三年生の大弥。ある日、家の近所の海岸に、鯨の死体が流れ着いたと聞き、見に行くことに。幼い頃に見た夢と、苦しい現実とのギャップが、見事に重なり合い、昇華される一作。生きていると壁にぶつかり、苦しむことはあると思います。そんな時に、明るく励ましてくれる人と、見方を変える発想が大切なんだと感じました。
夢月七海様主催の自主企画『同題異話・七月号 鯨よりも深く』参加作品。空を飛ぶ鯨を見にいくんだ、と夢を語る少年が押し寄せてくる現実に沈み込んでいく。潰れてしまいかけるその前に、沈み込んでいくその時に、少年は少女と再会する。暗くなっていく感情からの転換に、とてもスカっ! とする気持ちと、登場人物二人がとても可愛くて、幸せになれるお話でした!