mRNAを二度取り込んで

K-enterprise

接種完了……その後

 mRNAワクチン。

 コロナウィルス自体の免疫を作るワクチンとは違うということ、なかなか周知されていないのです。

 ファイザー製、モデルナ製共に「スパイクタンパク質」の設計図を人体にインストールします。

 すると、人体の中で「スパイクタンパク質」が生成され、これに対する中和抗体が作られます。

 このスパイク、コロナウィルスの画像でよく見るトゲトゲのウニみたいなやつですね。

 コロナウィルス自体は、スパイクの中にいます。

 でも、ワクチンによって生成されるスパイクの中身はからっぽです。


 私の解釈で言ってしまうと、ウィルスの乗り物であるスパイクが人体内部に上陸するのを阻止する準備をしておく、というのが今回のワクチンの効果です。


 なので、大量にコロナウィルスが含まれるスパイクを浴びると、抗体が追い付かずに、普通に乗り込まれて感染してしまいます。

 ワクチンを打っても感染するのは防げない、上陸を阻止するだけ。

 接種後もマスクや三密予防が必須なのはこのためですね。


 じゃあ、コロナウィルス自体のワクチン打てばいいのでは?


 コロナウィルス自体のワクチンも世の中にはありますが、弱毒化していても危険ですし、変異すると対応できないのです。


 いまのところ、コロナウィルスは変異していても、乗り物であるスパイクはそれほど変化がないみたいで、mRNAワクチンは感染防止の有効性を維持しているようです。

 

 この先、スパイク自体が変質しますと、また新たなRNAをインストールする必要はありますが、現時点に於いて感染対策に効果があることは、接種者の感染率を見ても明らかだと思います。

 

 もちろん、臨床にかけた時間が圧倒的に少ないとか、何が起こるか分からないとかという懸念は理解できますし、実際に私も躊躇していました。


 ただ、住んでいる市が比較的初動が早く、すぐに接種券が届き、6月末に県の接種センターで一回目の予約が取れました。


 被験者上等!


 と、意気込んで受けた一回目。

 受付から接種までとてもスムーズで、接種も一瞬。心配していた接種痛もほぼ皆無。

 なんとも拍子抜けでした。


 翌日、接種部位の周辺に筋肉痛のような痛みが広がり、触れると痛い状態が三日ほど続きました。

 若干の倦怠感、頭痛っぽさはありましたが、精神的なものもあったと思います。


 さて、先日二回目の接種を完了しました。

 翌日の朝から接種部位の筋肉痛。

 そして徐々に上がる体温。

 最大で38.7°まで上がり、37°付近から行ったり来たり。

 同時に倦怠感と頭痛。

 幸いなことに食欲はあり、買いこんでいたスポーツドリンクも活躍し、なんとか一番きつい時間を乗り越えました。


 事前準備で一番効果的だったのは、予め、主治医に解熱鎮痛薬のカロナールを処方してもらっていたことですね。

 ここは躊躇せずに服用が大正解でした。


 翌日には出社も果たせ、今回のアップデートは無事に完了したと思われます。


 これからワクチンを打つ方へアドバイスなど。


 ○接種翌日は予定を入れない方がよいと思います(特に二回目)

 ○動けなくなる可能性を考慮、すぐに食べられる食材を準備。

 ○飲み物は大目に。

 ○ペットを飼われている方は、餌やトイレなども抜かりなく。

 ○一人暮らしの方は、友人知人にご一報を。

 ○解熱鎮痛剤はあると便利。内科でワクチンを打つ旨を説明すれば処方してもらえると思います。


 いろいろと言われているワクチンですが、もちろん接種するのは自由意思が尊重されると思います。

 私自身、今後、どうなるか分からないという不安もありますが、これからますます猛威を振るう変異株がどれほどの凶暴性を獲得するか、そちらの方が怖かったですね。


 それと感染後に訪れる後遺症。

 味や匂いがわからなくなる人生を想像したら、何とも言えない恐怖に襲われました。


 そんな心配もあり、小松左京さんの「復活の日」が現実になるのではないかと恐れた去年から、わずか一年で見えた光明。


 私はそれにすがってみたということです。



 それではどちらさまも、無事にコロナ禍を乗り越えましょう。

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