最終章 ほどけた鎖
彼女は学校から居なくなった。居場所すら分からない。彼女の家を訪ねてみれば、失踪したとの事。
家族は泣いて探していた。警察も彼女を探していた。
姫月は醜い悪魔である僕のそばを離れたのだ。
疾走してから1週間、彼女は山奥の小屋で見つかった。手遅れだった。首切り自殺をしたのだろう。僕は彼女の遺体を見た。割れて赤く染った月のような姿であった。彼女は自由となった。僕が恋心を抱いた人は居なくなった。鎖は、とけた。彼女は孤独である僕を好きになったのではなく、孤独である、すなわち自由な俺を好きになっていたのだ。しかしそれは俺が「そばにいろ」という独占欲に塗れた世界すなわち鎖で繋がれていた。自由では無かった。だから彼女はこの世から消え、無の存在。自由となったのだ。僕は惜しい人を失ったが、彼女にとっての幸せを考えたら仕方の無いことだと思っている。そして俺は彼女の死を尊敬する。彼女の居ない学校生活は、以前と変わらないものとなった。
繋がれた少女 @crescentscientist
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