物語は、主人公の自殺――偽装から始まる。
世はまさに婚約破棄時代。
他国に侵略を仕掛けるインテンス帝国唯一の女性伯爵・マリーニャ・ランページもまた、婚約者ムールから婚約破棄を突きつけられていた(破棄する立場はマリーニャなのに)。
ムールを寝とったのは妹(と見せかけた父の友人の連れ子)マリアベル(妊娠中)。
やりおった。
マリーニャはそう思った。
しかも彼女は何故か、「姉はランページ伯爵代理で、成人した自分がランページ伯爵を継ぐ」と勘違いしていた。
頭が痛くなるような状況で、それでも婚約破棄の書類に取り掛かっていると、自分の瞳と同じ色のガーベラの花束が贈られてくる。
それは学友であり、帝位継承第四位第一王子のフィンバルクからだった。
ランページ伯爵家の力と、強く美しい女性伯爵のもとに、爵位と地位狙いで求婚してくる男たち。
そんな流れすら、フィンは利用する。――マリーニャを手に入れるために。
それは同時に、第一王子でありながら帝位継承が微妙だった彼が、帝位を一気に手に入れる可能性を秘めていた。
下手したらランページがフィンごと皇室に「反乱の意思」と見なされ潰されるかもしれない。
それどころか、マリーニャの婚約破棄を受け、フィンと対立している第二王子カシムールも求婚しに行く。
陰謀と欲望が渦巻く中、マリーニャの悩みは尽きない。お労しや、マリーニャ様。はたしてマリーニャ様が心休まる日は来る……のか?
勢力と外交が絡み合いながら真相がわかっていく、新感覚婚約破棄ラブストーリーです!