なんで女装してんだ?
「お前の言い分は分かった。だけどな、怒りに身を任せていると、いつかお前自身が滅ぶことになるぞ」
「はっ、申し訳ございませんでした」
説教と言えるか分からない説教をギルカンテにする。俺、怒るの苦手なんだよ。ほとんどのことを「大丈夫」で済ませる人間だから。
で、説教している理由は、こいつが俺の名誉と尊厳のために族長をポリっちゃったことだ。俺のことなんて、どうとでも言わせておけばいいのに。
「よし!じゃあ説教終わり!ギルカンテ、俺の事で怒ってくれてありがとな」
これが俺の作戦『鞭からの飴』だっ!鞭鞭鞭鞭と、鞭ばっかりだと俺はダメだと思うんだ。しっかり褒めて適度に飴を与えないと。
ほら、表情はフルフェイスで見えないが、嬉しそうだ。マジでこんなに慕ってくれているなんて……いい配下を持ったぜ。
「では王よ、我はトゥイスと模擬戦の約束があるので」
「了解だ」
こうやって、人形同士で親交を深めているのはいい事だ。攻撃のトゥイスと防御のギルカンテ……絶対見応えあるだろ。
「創造主!ちょっとこっちに来てくれ!」
およ?ははーん、さては進化の手助けを必要にしてるんだな?
「ほいほい、どうした?」
聞こえてくるわ。創造主、俺っちの進化を手伝ってくれって。
「創造主、俺っちの作った服を着てみてくれ!」
……うぇ、服?お前ら生産組はどんだけ生産好きなんだよ!もし俺が、ずっと人形作成やれって言われたら発狂するぞ?
「なにこれ、ドレスじゃん。しかも金髪のカツラまであるし」
「そうだぞ!」
そうだぞじゃねぇよ!絶対着るもんか!俺のドレス姿なんて一体誰に需要があるんだ?今ならもれなく、俺のすね毛ぼうぼうの足が付いてきちゃうじゃん!
「師匠、着てほしいでしゅ」
いた。需要あったわ。でもな、いくらマスプの頼みだからと言ってドレスは着れない。スマンヌダルク。
「なんで着ちゃったんだろう。なんで化粧されたんだろう。なんで撮影会してんだろう。なんでなんでなんで……」
「いいアルよマスター!もう少し右手を上に……そうネッ!」
超絶恥ずかしい。マスプとミュラン!頼むから見ないでくれ。
「か、かわいいでしゅ」
「これは反則だぞ……」
嘘つけテメェら!俺が女装して可愛くなるわけねぇだろ!
とは言えないので、内心で悪態をついていたら撮影会が終わった。
「疲れた……」
あいつらは、シェが撮った写真を見てキャーキャー言ってる。よく赤いドレスに金髪のウィッグなんてもの付けて写真撮ったな俺。
「でも、いい案が浮かんだのは確かなんだよなぁ」
なんかこう、女王様みたいな人形を作りたくなってきた。俺が指示しなくても、そいつが代わりに指示を出すみたいな。
「まあ、今日は錬金術師を創造する予定だけど」
それと少し時間があれば、エルフの人形も作成していきたい。今回のイベントにピッタリだからな。
「師匠、人形作るでしゅか?だったら一緒に作りたいでしゅ」
うぅ……トテトテって寄ってくれなくなってる!!おぼつかない足取りで寄ってきて、服を掴むまでの流れがぁぁぁ!
ふぅ、冷静になろう。一緒に作るのはアリだな。と、その前にマスプのステータスを見せよう。きっと驚くことになるぞ?はい、ドーン!
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名前:マスプ
種族:
職業:量産者LvMAX 彫刻家LvMAX 人形使いLv38
HP:1780
MP:1780
■スキル
【探究考察Lv2】
【模造LvMAX】
【複製LvMAX】
【量産LvMAX】
【彫刻LvMAX】
【命灯Lv5】
【効率化LvMAX】
【超集中LvMAX】
【人形作成Lv8】
【自動行動Lv8】
【演舞Lv1】
■称号
『ネジュの人形』
『量産の神』
『人形の主』
『進化せし者』
『突然変異』
『不動』
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すごくない?神の付く称号を手に入れたため【命灯】が使えるようになってる。で、俺と同じ職業:人形使いを取得していた。
つまりどういうことかと言うと、俺がもう1人いるみたいな感じ。
そして【鑑定】【分析】【測定】が進化の影響で合成され【探究考察】になってる。そうそう、進化して種族が人形から造人になったぞ。
【模倣】も【模造】に進化してるし。マジで量産者極めてんな。でも【演舞】は意味分からん。バフスキル取得しても、生産職なら意味ないだろ。
称号の『不動』は7日もの日数をかけて人形を作り上げた際に獲得したものらしい。空腹度システムがないため、1歩も動かず作業出来るのはいいよな。
効果はノックバック無効だから全然恩恵受けられていないが。
「師匠?どうするでしゅか?」
「ああ、すまん。一緒に作ってみるか」
「やた!」
ピョンピョン跳ねて喜びを表現するところは変わってないのか。
じゃあ【造形】を唱えて、PEOでは久しぶりの人形作成するか!
【打ち切り】造形師の俺、ゲーム世界で創聖様と崇められる 煌聖 @ko_sei
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