エピローグ

「はっ!」


 気づくと元の部屋に戻っていた。

 パソコンの画面には、さっきのゲームの説明が。


「今の……夢?」


「いや……もぐもぐ……夢じゃ……」


 まこさん、なにか食べてる?

 僕は振り向く。


「ほら、立石も食べたらどうだ?」


 まこさんが差し出したのは、リンゴだった。


「ゲームの味がする」


「……?」


 その味はよくわからないけど、受け取る。


「……おいしい」


「だろ? 私が立石のために採ったからな」


「ありがとう……ございます」


「こんなにおいしいなら、また行かなきゃな」


 行くって……。


「あそこにですか?」


「なんだ、嫌なのか?」

「それなら……」


「嫌じゃないです!」

「とても楽しかったです」


「そうか、よかった」

「だが、私はしばらくアイドルの仕事が忙しくてな」


 仕事か……。

 仕方ないな。


「なんなら、一人で行ってきたらどうだ?」


 一人か。


「……嫌です」


「どうしてだ?」


「僕は……まこさんと行きたいからです」


「なんでだ?」


 あ、まこさん笑ってる。

 わざと聞いてるな。

 よし、こうなったら。


「好きだからです!」

「……まこさんのことを」


 今まではっきり言えずにいたから。


「お、おおう……そうか」


 珍しくまこさんの顔がリンゴみたいに赤く染まった。

 これで仕返しできた。


「私も好きだぞ、立石」


 しおらしく告げられた嬉しい言葉に、僕も赤くなる。


「まこさんは、ゲームの中でなにをしてたんですか?」


「立石こそ」


「僕は……」


(完)

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こんな世界に入ってしまったのに、 砂漠の使徒 @461kuma

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