12 .僕達は作戦を、成功させる。

「おっ、戻ってきたみたいだぞ」


「ふたりとも、お疲れ様ー!」


 洞窟から出てきた二人を暖かく迎える。

 しかし、二人は顔を真っ赤にして黙っている。

 ……その割には、ちゃっかり手を繋いでいるけど。


「ふふふ、成功みたいだよ」


「そうみたいだな」


 僕達は、顔を見合わせてニヤニヤする。


「あの!」


「成功って?」


 二人が仲良く同時に口を開く。

 それじゃあ、説明するか。


「ここはゲームの世界。もちろん剣と魔法で敵を倒してもいいんだが……」


「せっかくなら、二人の仲を深めてもらおうと思ったの」


「二人の……仲?」


 立石君は、キョトンとしている。


「だから、計画を立てて」


「あなた達を案内したの」


「そうだったのか」


 そうだよ、まこちゃん。


「「楽しんでくれたかな?」」


 どうだろう。

 二人が口を開いた。


「……僕は」


「……私は」


〈制限時間です〉

〈ログアウトします〉


「おっと、もう時間みたいだ」


 肝心の答えは聞けずじまいか。


「また会えるといいね」


「あっ!」


「あの!」


 僕達は手を振って、消える彼らにお別れをした。

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