タナゴのタミオ

外資系投資銀行に勤務する祐介は仕事に邁進し、これといった趣味もなく、タミオと名づけた淡水魚のタナゴを飼うことが唯一の愉しみだった。ある夜、バーで旅行代理店に勤める繭子という女性と知合い逢瀬を重ね、間もなく半同棲のような生活を始めた。
ある日、アメリカ大使館員からＣＩＡのエイジェントにならないかと誘われおおいに迷ったが、祐介は結局そのスカウトを受ける。
アメリカ留学経験があり英語が堪能、外国人との人脈が豊富なことがスカウトの理由だった。
エイジェントとなった彼は敵対するシナーロ国に対する情報活動を始める。アメリカのＣＩＡ本部の会議に出席した彼は、世界情勢の説明を聴き、情報収集活動の重要性を知り、自身の仕事に情熱を覚え始める。
彼の活動を察知したシナーロ国の情報部は祐介の命を奪う行動に出る。ある…続きを読む