第2話 魔法国の女王
「う、うーん、ここは?」
僕はうなり声を上げながら、目を覚ますと魔道書と融合石、携帯食料があるかどうか確認すると右肩に引っかかって、いたドキュラを起こして、あたりを見渡した。
あたりは森ではなく広い草原であり、空の色が赤紫になっている摩訶不思議な、世界だった。
「…不思議な、所だな。」
「そうだな、主。」
僕がそんな会話をしていると後ろから、気配を感じた。
「ん?」
僕が後ろを振り向くとなんとトビラが無くなっており、代わりに扇を持ち、大胆に胸を露出した服を着て、頭に魔物のツノを模ったような、ヘアアクセサリーを付けた、ショートヘアーの女性が立っていた。
「フフフ、客人が来たわね、あそこにトビラを置いても、人は来ないと思ってたんだけどやってみる価値あるわね、しかも使い魔を連れた魔道士とは飛んだ大物ね…。」
女は扇で口元を隠しながら、悪意の魔力が感じる笑みを浮かべた。
「アンタ、誰?凄い悪意の魔力を感じるから、魔道士てのはわかるんだけど…あっ、もしかしてあれ!最近聞かなくなったけど、何年か前に流行った露出狂魔道士?その歳じゃキビシイよ、オバさん。」
「うん、それは言えてる。」
その言葉を聞いて、彼女は扇で口元を隠しながら、僕達を睨みつける様な、目で睨んだ。
「くっ、初対面の人に向かって露出狂のオバさんと言うなんて、なんて失礼なことを言う奴らなのかしら、学校で習わなかったの?目上の人に悪口を言ってはいけないと。」
女は僕達を睨みつけながら、言うと持っていた扇を閉じた。
「まぁ、いいわ、教えてあげる私はこの世界は魔法国よ、そして私はこの国の女王であり世界最高の魔女その名もロベリア様よ!」
彼女はそう名乗ると扇を開いて、再び口元にあてた。
「魔法国の女王?その女王さんがなんで、ここにいるんだ?」
僕が彼女に聞くと、彼女は不敵に笑いながら、扇をあおいだ。
「フフフ、それはね、あのトビラに入ってきたお前達みたいな、バカな人間を…」
彼女は話を止め、両隣に黒い中位の丸い光を2つ出現させると扇を閉じ、僕達に指を差してこう言った。
「さらうためよ!お行き!私の可愛いしもべ達よ!」
「「ゴガァー‼︎」」
カラスの様な、鳴き声と共に黒い鳥の様なのが2体黒い光から飛び出し僕達に襲いかかってきた。
「うわっ」
「あぶね!」
済んでのところで避けると、僕は黒い何かを凝視して、生き物の正体を見破った。
「あれは、さらいカラス!」
「さらいカラスだって⁉︎」
ドキュラは驚いた様に聞き返した、まぁ、無理も無いか…結構珍しいからな、アイツらは…。
さらいカラス、なんでも連れ去ってしまうことが、大好きな鳥型の魔物で主に誘拐犯などが、飼い慣らしいる、通常のカラスより、1回りも2回りも、大きく人間だったら軽々持ち上げるくらいに足の筋肉が強い!まぁ、性格が最悪だから、使い魔にしている奴は多分、いない。
「フフフ、驚いたぁ…私の力があればあんな、奴ら簡単にしもべにできるのよ、さぁお行き!奴らを捕まえろ!」
「「ゴガァー」」
彼女の命令を聞き、2体のさらいカラスは再び、僕達に襲いかかってきた。
「くわっと、あぶねぇ…アイツらに捕まったら、何されるかわかんねーぜ、でも!オレ達はアイツらの弱点を知ってんだ!行くぜ!主!」
「あぁ!相棒‼︎よっと…。」
さらいカラスの群れの奇襲を三たび避けて、僕はドキュラと一緒に後ろに下がり、魔導書を取り出した。
「あら、何をする気?」
「見てりゃわかるよ!」
そう言うと僕は耳栓を付け、魔導書を開き、左手を前へ突き出し、魔法を唱えた。
「くらえ!音波魔法"モスキート音波"」
僕が言うと僕の左手から、大音量のモスキートがあたり一帯に鳴り響いた。
「「ゴガ、ギャー⁉︎」」
2体のさらいカラスはこの音を直で喰らったらしく、苦しみ、もだえ、始めた。
「さっすが〜、協力だねー!主の音波魔法は!」
「そ、それほどでも無いけど…」
僕は気恥ずかしく頬をかきながら、答えた。
音波魔法は僕の得意魔法だと言っても、上級はちょっとしか使えないけど、あと音波調節が出来ないから耳栓を付けておかないと、ダメなのが難点かな?
「俺も負けてらんねーぜ!」
そう言うとドキュラは目を閉じ、耳に全集中力を注ぎ込み、目をカッと見開いたと同時に超音波を耳から放った。
「コウモリ超音波術“動物身体破裂超音波"」
放たれた、超音波は2体のさらいカラスに直撃した。
「「ゴ、ゴギャガァァ…」」
2体のさらいカラスは断末魔と共に身体が破裂した。
「どうだ!俺も負けず劣らずだろ!」
「あぁ、そうだな。」
僕達はハイタッチをした。
「あらぁ、なかなかやるじゃない。」
ロベリアは不敵に微笑みながら、扇で扇いでいた。
「あんなの弱点をわかってりゃぁ、勝てんだよ!」
「弱点ねぇ…。」
すると彼女は扇を閉じまた、黒い光の玉を出現させた。
「だったら、コイツは倒せるかしら…お行き!」
彼女は指をパチンと、鳴らすと光の玉から、ガァァァと言う鳴き声と共にまた、さらいカラスが飛び出して来た。しかしそのさらいカラスは…。
「なっ、何だ…あのさらいカラスは…」
「でっ、デケェ。」
通常の2倍いや、10倍以上デカかった…。
「フフフ…驚いたぁ、このさらいカラスはね、私が品種改良に品種改良を重ねて、作り上げたさらいカラスだから、通常のさらいカラスの10倍以上の力を持っているのこれがあなた達に倒せるかしら…。」
「フン、例えデカくても、弱点は一緒だ!音波魔法"モスキート音波"」
僕は再び、モスキート音波を放った。
「ガァギャギャー!」
「なっ、全然効いてねぇ。」
しかし、このさらいカラスにモスキート音波のダメージが入ってなかった、むしろ''ピンピン"していた。
「フフフ、言い忘れたけど、コイツは品種改良してるから、弱点であるモスキート音と超音波は克服してるのよ!」
彼女の言葉に僕達は衝撃を受けた、それじゃぁ倒す方法なんて、ないじゃないか!そう心の中でつぶやいてると。
「フフフ、もう終わり?じゃぁ今度はこっちから、行かせてもらうわよ、行きなさい!」
「ガァギャー!」
品種改良さらいカラスは、荒々しい鳴き声を上げると、僕達目掛けて、足の爪を立てて襲いかかってきた。
「「うわー、もうお終いだー!」」
僕達はここで終わると思い声を揃えて悲痛な叫び声を上げると突然、腰に付けていた袋から、融合石が飛び出し強い光を放った。
「「「うわ⁉︎」」」
「ガァギャーァァァ⁉︎」
突然の光にびっくりして、僕達は目覆ったがその光を直でくらった、品種改良さらいカラスは断末魔に近い悲鳴をあげながら吹っ飛んだ。
「う、うう…助かったのか?でも、一体なんだったんだ?さっきの光…。」
「わからない、でもわかることはこの袋から、融合石が飛び出して来たことだけだ。」
僕は空になった融合石の袋を持ち、上を向くと、融合石が僕達の目の前で宙に浮いていた。
「こんな風にね。」
ドキュラにそう言うと僕達は浮いている融合石を袋に戻そうと融合石に触れると突然融合石が光だした。
「うわっ⁉︎」
「なっ、何だ⁉︎」
その光は驚く僕達を一瞬にして包み込んだ。
「くっ、何だったの!さっきの光は起きなさい!さらいカラス!」
「グ、グギャー…。」
ロベリアはさっきまで目の覆っていた、扇を閉じロベリアの近くまで吹っ飛んで、気絶していたさらいカラスを起こした。
「まったく、さっきの2回起こった光は何だったの?どっちも眩しくて、顔をずっと扇で隠してしまったわ…。」
彼女は閉じた扇を口に当てながら考えていると品種改良さらいカラスが彼女の無駄に露出度の高い服の袖部分を引っ張って来た。
「何よ…。」
「グカァァァ…。」
「えっ、前を見て下さいて?」
品種改良さらいカラスに言われた通り、彼女が前を向いて見るとそこにはコウモリを催した鎧と羽をイメージしたマントを羽織り、何故か首にメガホンを掛けたイケメンの男が立っていた。
「やっと、気づいたか…ロベリアお前気づくの遅いぜ。」
「あ、あんた、誰よ!ここに居たのは確か魔道士とコウモリのはずよ!何処へやったのよ!」
彼女の問いに男は答えた。
「あの魔道士とコウモリか?そうだなー、簡単に言えば俺があの二人を融合させたな!」
俺は軽い感じで答えた。
「融合させた?じゃぁ改めて聞くわ、あんた誰よ!」
彼女のが聞いてきたので俺は潔く答えた。
「俺か?俺は融合石の力で魔道士とその使い魔のコウモリが融合して生まれた戦士!その名は融合騎士ドキュネだ!」
俺はマントを靡かせながら答えた。
魔法国融合石記 オーダイルゆうき @o-dairuyuuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔法国融合石記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます