第23話

無事にレコード会社のイベントにステージに立てた蒼君達は今年も変わりなく、盛り上がった。


ライブの迫力ある演出とメンバーの透き通った歌声。

最後には、何発もの花火を打ち上げて、

フェスティバルの幕を下ろした。


「もう少しでクリスマスか・・・・・」

独り言のつもりで掃除中に呟いた。

今は12月で、下旬が近づいている。


(また渋谷のイルミネーションを見に行きたい

なあ・・・・・。あそこってデートスポットだからカップルに人気なんだよね)


「デート・・・・」


今まで、蒼君とお出かけした経験が無い。

蒼君は彼氏でもいつも忙しいから、

なかなか休日で遊ぶことがない。


「これってチャンスかも!冬休みだし、蒼君と見に行けるかも!」


すぐにスマホを取り出して、ソファーに腰を下ろす。

『蒼君』の文字が出る画面に、電話を掛ける。

2回鳴らして、やっとスマホに声が飛び込んだ。


「もしもし蒼君。あの、今度の冬休みの24日に渋谷のイルミネーション、二人で見に行かないかな?」

『ちょっと待って・・・・・・・ああうん。予定空いてるからこの日は大丈夫』


この日は、ということは。

冬休みの間でも仕事がある、ということだろう。


「うん。渋谷に行って、初デートしたいんだ。待ち合わせ場所とか時間とか、後で決めちゃいたいんだけど」

『ん、分かった。そんじゃ、次の日に決めるか。通話切るから。じゃあな』


プツリと途切れて頬が赤く蒸気する。


(デート・・・・・楽しみ・・・・・!!)



「結愛、熱っぽくない」

「そそそんなことはないっ!全然!」


でも、本当に倒れそうだ。

普通のコート、マフラーをして、髪型もセットしてきて、良いくらいにバレないような格好をしている。

かっこいい・・・・・。


「結愛、そのコート可愛いね」

「えっ!」


何だ・・・・。

コートのことか・・・・・。


「う、うん。ありがと・・・・・」


(何か、気合結構入れたけど、恥ずかしい)


手は冷たいのに、何故か顔は熱い。













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推しと恋することはミラクルです 綾音 リンナ @akanekorin

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