未完成

 戦闘用AWは最低でも近接戦闘をこなせる物、剣やナックルガードなどは必要になる。さらに本体の装甲や関節のスペアはほしい。もっというなら銃火器があるといい。だが、この山から全てが見つかるとは思えない。近接武器や装甲はともかく、銃火器については知識がある程度なければ作ることができない。そして彼にそんなものはなかった。

 とりあえずAWをある程度動く状態にすることにした。かろうじてコックピットだけが生きている青緑の拾い物のOSを使うとして手足ををどうするか。相棒のものを使う気にはなれない。そして今日は寝ることにした。




 翌日、いつものようにゴミの山に登り作業を始めると、昨日の場所にはAWのパーツがたくさんあった。昨日見た1機にばかり目が行っていて他の物に気づかなかったようだ。ここにあるだけのパーツを集めると仕事そっちのけでパーツが動くか調べ始めた。

 かろうじて動くものを両手両足分を集めることができたが、部位ごとに性能がバラバラで、しかも一日を完全に潰してしまった。

 でもとりあえず形にすることに成功した彼は今日の晩飯がもやしということも忘れ、ウキウキしながらパーツを抱えながら帰っていった。


 家に着いた途端、モーターが乱雑に入っている箱を取り出し、同時に取ってきたパーツのモーターを外し始めた。もちろん性能を左右で統一するためだ。ただし今すぐにつけることは難しいだろう。乱雑に入れていたのでどれとどれが同規格なのかが調べるまでわからない。それを調べるのにも時間がかかる。今作業を始めると終わるのはいつになるのか。朝までかかり結局明日の仕事も潰れてしまうだろう。ということで今日は寝ることにした。


 翌日、もやし料理を食べるとモーターを漁り始めた。彼は寝るときにはすでに気づいていた。

 「明日ももやしでいいじゃん」

 小さな頃からもやしが好きだった彼は、もやしのレパートリーが異常に多く、もやしがあらゆる面において最強だと豪語しています。そんなことはありません。

 とにかくもやしでも問題がないので今日くらい休もうということです。

 また一日を潰しましたが、モーターの取り付けが終わり、ついでにまともに動けるように組み立てまでしました。



 翌日、作業に使うのはいつもの相棒ではなく昨日のAWを使おうとします。だめでした。起動した途端、安全装置が作動しました。調査してみると、ただのブレーカーが落ちただけでした。

 ブレーカーを上げて再起動しました。だめでした。やっぱりブレーカーです。

 どうやら右腕に負荷がかかっていたようです。ショートしかけていました。

 直してみると、今度は動きました。作業に使ってみると、拾った物を一瞬で粉々にしてしまいました。これは作業に使えないなと思い、また一日潰しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Break fight! 灰城モノシロ @monosikai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ