第1話

私は飛田昭、今年で27になる会社員。

今日は趣味の献血に来ている。


変わっているかもしれないが、献血に参加すると食べ物がサービスされたりする。

最近では、参加すると人気ジャンルとのコラボグッズがもらえたりする。


血を抜かれるあの感覚がなんとなく好きでいまでも参加している。

今は事前の検査を終えて自分の番を待っているところだ。

まあ、今待たされてるのは自分しかいない



「ヒダさーん、準備できましたよ」

看護師が呼びに来たので腰を上げる。


「ヒダさん、お待たせしました」

「あのすみません...ヒダじゃなく飛田トビタです」

「え?ああ!失礼しました、トビタさん準備できましたのでこちらでお待ちください」

「ええ、こちらこそすいません」


こういうことは結構多い。

自分も飛田が苗字の人に会ったら最初に”ヒダ”と言ってしまうだろう。

今日に限っては呼ばれる対象が自分しかいなかったので助かった。


「では、こちらに座ってお待ちください」

案内されたとおりに椅子に座っていると、先ほどの看護師とは違う人がやってきた。


「それじゃあ、献血はじめますね」

いつも通り腕を差し出しゴムチューブを巻いてもらう。

注射器が腕に刺さる。

そしていつもの何とも言えない気持ちのいい感覚が...

あれ...?こない...?


いつもの好きな感覚が来ないので自分の腕に目をやる。

血が抜かれるどころか何か注入され...て......


そこで気を失ってしまった。

気が付くと真っ白な部屋のソファで寝そべっていた。

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自分解剖室へようこそ 亀山 遥 @paka-ice-223

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