霧の中の幻影

来生健二は、東京北青山でテキスタイルメーカー『リフレック』を経営していた。
ある日、車で軽井沢からの帰り道、偶然霧の中で出会った女と東京まで同乗することになったのである。女の素性は、大手アパレル『Orion』のチーフデザイナー野添純香であった。二人は、ごく自然に恋に落ちて行く。まるで、決められたストーリーのように。
来生は、新しい再生繊維技術を使って業界に新風を吹き込もうとしていた矢先のことであった。共同研究をしている日本化成の内川のもとには研究中止を求める脅迫文が届き、また来生は、純香との密会写真をネタに再生技術の情報を渡すことを求められていた。
すべての謎は、純香と出会ったことから始まっていたのである。純香の真実の正体とは？　そして、その黒幕とは？　来生と、純香の恋の行方は？
表参道ヒル…続きを読む