異能にもいろいろあるけど、どれも全部羨ましい

 普通ではありえない能力を持った人たちの、その能力についてそれぞれ仔細に説明するところから始まる物語。

 とにかく最後のオチが心地いい! 最後まで読んだ瞬間にグッと惹かれるというか、結びの一文がこの作品をしっかり物語として締めてくれる、その感覚が本当に最高でした。読んでて「これだよ!」って嬉しくなる感じ。

 これ以上はどうやってもネタバレになるので、以下は本編未読の方は見ないでください。



〈  以下ネタバレ注意!  〉

 構成が好きです。前半と後半に分かれていることと、それ自体に確かな意味があること。加えて、それを前半の細部からうっすら予想させてくるところ。
 芸が細かいというか、言外に読み方を伝えてくれる誘導が巧みで好きです。

 内容はほぼキャッチコピーの通りで、作品の内容そのものは狭い世界のお話ではあるのですけれど、でも例えば仕事などに置き換えたなら、誰しも少なからず共感できるであろうところが良かったです。「そうとでも思わなきゃやってられない」と、「でもまあそんなもんだしもうしょうがないよね」みたいな、その共感のような気持ちが楽しい作品でした。