第16話 休み
あれから色々な事を調べ始めた。
まず、気になっていた事などから始めてみる。
天使と悪魔の話は有名だが、72の天使・悪魔は同列である。
さらに言えば名前を1文字変えた等の変換・言葉遊びのような形で生まれている。
神のゼウスとオーディンは地域によって呼び方が違うだけで同じ存在。
そうした神話系の話から、現代での事までを調べた。
「こうして考えると本当の事って別になんでもいいじゃないかと思えるよな」
神も存在しないと言われていても宗教という概念を認めている・・・結局全てを否定しきれないという証拠なのかもしれない。
まぁ、単純にここまで社会に浸透している宗教をいきなり「神なんていないので今日で終わりです」なんて言うのも難しいという事なんだろうけど。
そう考えると歴史って結構適当なのかもしれない。
見つかった物を後付けで予測してこうだったああだったと決めてそれが浸透すれば歴史として記憶されてる訳だし。
人間一人の歴史ですら、本人が全部覚えている事なんて出来ないのにな。
そんな風に考えていると携帯が鳴った。
「先輩!神様って面白いんですね!」
俺が色々と調べなおしていると少し前に言ったから気になって自分でも調べたんだろうか
「だってアテナってすごい負けず嫌いだったり、女神同士で誰が一番綺麗か決めて喧嘩してたりしてるんですよ!。なんか人間みたいですよね!」
人間みたい・・・か。
まぁ、確かに調べてみると文章で見る分には神聖感あるけど要約すると結構面白いんだよな。
悪魔が気の毒になるほど神が暴れてたりするし、女神はまともなのがいないし。
「聖書を見てみるともっと面白いぞ」
そう返信してみた。
聖書の中で悪魔と神でどっちが人を殺している数が多いか数えてみたりした事があったが圧倒的に神のほうが多かった・・・なんて話を聞いて笑ったからな。
「もう知ってますよ!神様って酷いですよね〜」
あら、まぁ有名だしな。
何が本当なのかを大事にしていたはずなのに、今じゃ何が本当かじゃなく何が大事かにすり替わってるのが現実だ。
結局都合よく解釈して、それが金になるかどうかから始まり自分の考えが合ってると見栄の張り合いをし続けてるだけ。
「これ以上調べても無駄だな・・・で、七草はどうするつもりなんだろうな」
実際、俺からどうこう出来ないのが現実なのだ。
どう考えても金銭的に無理だから、七草次第になってしまう。
だってしょうがないじゃないか・・・地力が違うんだからさ・・・。
知力じゃなく、地力な!と自分で思ったけど知力も勝てないか。
「先輩見つけた!」
突如後ろから声がして振り返ってみるとシグがいた。
いた・・・のだが変な格好をしている
「なんだその服装は・・・」
なんか魔女みたいなローブを着てとんがり帽子を被っている。
というか魔女かこれ
「ハロウィンですよ!もう時期ハロウィンだから魔女のコスプレをしようと思いまして」
そうかハロウィン・・・もうそんな時期か
魔女ってもっとこうセクシーか、釜をかき回してるおばあさんみたいなイメージなんだがどうみても後者なんだろう。
なんだろうけど・・・
「ハロウィンは分かった。魔女も分かった。だがお前それサイズおかしいだろう」
ローブなのはギリギリ分かるんだが大きすぎてマントみたいにひきづってるし、
逆にとんがり帽子は小さくてドレスハットみたいになってる。
「あちゃーバレましたか!ネットでポチったんですけどサイズ間違えたんですよね〜。まぁローブは切るんで大丈夫です!」
なるほどポジティブだな
「しかし、魔女って大分スタンダードなのを選んだな。もう誰もしないんじゃないか?」
なんかもう何周も回りすぎてハロウィンから消えたんじゃないかと思ってた。
最近はコミケのコスプレ会場かってくらい色んなコスプレがメインになってるし。
「そうでもないですよ?結構えろえろな魔女は多いですよ。あー先輩そっちが良かったんですか?やっぱ男ですもんねぇ」
にやにやしながらドヤ顔するのやめろ。
「そういう事じゃない!いやそういう事が0だと言うと嘘になるが・・・
いや、そうじゃなくてだな」
なんだろう、こういう時に男って何も言えなくなる生物なんだなって思い知らされる。
ハロウィン・・・ハロウィンか。
それもまた一つの歴史って事なんだよな・・・と思考を戻そうと必死になっていると
「あ!ちゃんとストッキングは履きますから安心して下さい!先輩好きですもんねストッキング」
何故それを・・・知っている・・・
誰にも言っていないぞ・・・
「先輩の好きなアニメのキャラも芸能人を見てると履いてる人ばかりですもん。そりゃー分かりますよ」
プロファイリング!? 俺後輩にプロファイリングされてたのか!?
「あと、先輩ギャルは苦手ですよね?そういうの見てるの見た事ないですし」
当たっている!何この子怖い。
「男はみんな似たようなものだろう・・・」
そう!男は同じ!みんな同じようなもの!
そういう事にしておきたい
「七草先輩も履いてますしねー?それも一年中」
「何故七草が出てくるんだ!そ、そりゃあ女性はみんな履くだろう。脚を綺麗に見せたいじゃないのか?」
何故俺は動揺しているんだろう?
いや、男なら自分の性癖を暴露されたら誰でもこうなるそうに違いない!
あぁなんだかどんどんドツボにハマってる気がする
「へー、そういう趣味があったのねアナタ」
・・・七草が居た。
居たというか沸いた。
「お前いつの間に!?、いや違うんだ」
必死に弁明しようとすると
「いいじゃない別に。ほら今日も履いてるわよ?見なくていいの?」
にやにやしながら七草が言ってくる
「だからちがーーう!」
この後必死に誤解を解こうと試みたが、脚フェチの称号を得る羽目になってしまったのだった。
DXM @Emiyann
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