ただ1度だけ

rottann

たった1度だけ

100/100

「大丈夫ですか?」

俺は頭を抱えているおばあさんに声をかける

おばあさんはハッとした顔で見ている、おばあさんは小さな声で

「は...やく...逃げ...て」

その三秒後くらいだろうか?背中が熱くなる、地面に赤色の液体が落ちる、

その直後に激痛が襲う、痛すぎて喋ることが出来ない、そこへ見知らぬおばあさんが急にずっと忘れていたことを思いだしたかのように涙目になり

「ごめ...んね...ごめん...ね」

と繰り返している、おばあさんの後ろに黒い影が現れ、おばあさんから赤色の液体がドッと流れる。

100/0


飛び起き、目を覚ました、息が荒い。

部屋を見渡す、缶ビールが約7本、一升瓶1本が床に無造作に転がっていた、部屋中に昨日の晩酌のアルコールの匂いが鼻につく。部屋に消臭剤を散布し、

ソファーに腰をかける、ただの悪夢だったのだろうか?まだ背中の熱さ、血液の感覚、痛み、全て鮮明に残っている。考えている途中にインターホンが部屋中に響き渡った、外を見ると現在の想い人の越方夏海が居る、急いでビールや焼酎のゴミを片付け、ガチャっとドアを開ける

「やっほー来たよー」

と軽いノリで部屋へ入ってくる。

今日は夏海と出掛ける約束の日だ、

支度をするために夏海をリビングに待たせ支度をする、支度を終え、家から出る、目的地に着くまでの途中、夏海に歩幅を合わせ、道路側を歩き、紳士を振る舞う。目的地までの途中、後ろからダッダッダっと走る音が聞こえる、するとその瞬間、刺された。


「え...?嘘でしょ...?」

目の前で彼が殺された、私は思考が追いつかずその場に崩れ落ちた、周りが騒がしい、そこで視界が暗転した

次に目を覚ましたのは病院だった

「あれ...私何してたっけ...あ...そうだ...彼が刺されたんだっけ...?」

ふと思いだし、涙がこぼれる、子供のように声を上げて啜り泣いた、かれこれ30分ほどは泣いていたのではないだろうか、腫れぼったくなった目を擦り、

泣き疲れた目を閉じる

そこへ医者がくる、目を開け、医者から話を聞く、彼が亡くなったこと、そのショックで3日ほど意識を失っていたこと、そんな話を聞いていると、そこへ警察が来たあの時の通り魔について教えて欲しいとの事だ、事件の詳細、通り魔の特徴、全てを話した。

私は退院し、家に帰宅した、電気もつけずそのまま床に倒れ込み彼を思い返した、今までの思い出、彼の全てを、ただただ悔しかった、たったあの数秒で全てを奪われたという事に、無力感に打ちひしがれ彼を助けたいと強く、強く思った、いつの間にか寝ていたのだろうか、目を覚ます、時計を見ると4日前、彼との外出の日だった

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「戻ってる!?良かった!これで助けられる!」

玄関をあけ、靴を履き、エレベーターに乗らず階段で行く彼の家へ急ぐ、

「大丈夫!?」

ドアを開けると彼の姿がない、待ち合わせの場所へ行ってみると、人だかりがある、私は察した

その直後甲高いブレーキ音がなる、隣には大型トラックが見える、視界が暗転した、死んだのだろうか目を覚ますとまだ彼との外出の日だった、体を見ると致命傷以外の傷が残っている、チクチクと痛みもある

その後試してみると時間が戻るのは致命傷、もしくは気を失うなどの制御が出来なくなった時、そして致命傷以外の傷、体の状態などは時間が戻る前のままという事

それに彼は12時45分頃に死ぬということが分かった

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「うぅ...安易に死ねない、傷だらけで動けなくなったりしたら大変...」

鏡で顔を見るとやつれているのが分かる、死ぬストレスからだろうと思い私はそこまで重要視せず彼の家へ向かった

まず私は彼に説得し家から出ないように言った、

た12時45分になった、彼には何ともない、行けたと思った、その瞬間部屋が燃え辺り一体火の海、放火された

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まず私は彼の代わりに刺されることを考えた、

しかし刺されると痛みのショックで気絶してしまい断念した

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次に私は警察に言ってみたが相手にされない、どんなに話しても

「確証の無いことに出動させる事はできません」

の返答ばかり

12時45分を過ぎた

私は睡眠薬で無理やり眠り戻った

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次に金を払い護衛を頼んだ

護衛は通り魔を取り押さえた、しかし上から鉄骨が落ちてき彼と同時に私も死んだ。

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死ぬストレスで気が狂いそうな中最後の手立てを使う、私が通り魔を殺し、彼を連れて逃げる、もうこれ以外思い浮かばない、勢い良く通り魔を刺す、カンっと金属音がする刃が入らない、通り魔は金属板を服の周りに仕込んでいたのだ

そのまま私は刺され、彼も刺された

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私は自暴自棄になり自殺を繰り返した

落下、首吊り、薬物、焼身、切腹、ガス、薬物、入水、飛び込み、失血、感電、凍死etc...

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何回死んだのだろうか、また自殺しようとすると写真立てに入った彼の写真を見つける、彼を助けたいその一心で精神状態を保った、鏡を見ると異変に気づく、顔がやつれているとかそんなんじゃない、シワが増え、顔がたるみ、シミが増えているのがわかった、私は瞬時に理解した

老けている、私はその状況をすぐさま飲み込み、タイムリミットが迫っている、そう気づく、体のあちこちの傷、打撲痕、擦れた跡、痛いがそんなこと気にしてる暇はない、彼の元へ急ぐ、しかし体が弱っているのか階段から落ちた

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私は家に登山用の杖を使い彼の元へ向かう、それから何度も何度も助けようとした、しかし何度も失敗した、もう挫けそうな程に

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「助けに行かなくちゃ...あれ?何を助けるんだろう...?」

私は死のストレス、認知症などが重なりなにも思い出せないでいた

食べること、飲むことすらも忘れていた私は脱水症状で死亡した

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ガチャっと誰かが家の中に入ってくる、ガサガサと漁る音がする、足音が近ずいてくる、首が熱くなる、斬られたんだろう

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私はフラフラと出かけた

すると車に轢かれた

その後も何度も出かけ川に落ち、塀が倒れてくるなどの災難に見舞われ何回も死んだ

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私はまた気まぐれで出かけた

なにか見覚えのある場所だ

頭が痛い、思い出せない、何を思い出そうとしてるのかすら分からない、だけど大切な気がする、

そこへ男の人が声をかける

「大丈夫ですか?」

私はハッと思い出す、泣きそうになるが、泣くより先に伝えなきゃと思う

「は...やく...逃げ...て」

長いこと喋らなかったため呂律が回らない、無理やり絞り出した声で彼に言ったが、もう手遅れだった、

彼は刺され横たわる、それに私はただただ

「ごめ...んね...ごめん...ね」

ということしか出来なかった

私は後ろから刺された

意識が朦朧としている最中も謝ることしか出来なかった

意識が無くなる

100/100


∞/6406795

∞/6406796

RESTART


100/100

100/99

100/98

100/50

100/0


彼女は何度も何度も同じ人生を繰り返すことしか出来なかった、それは彼女の運命だったから、彼女はこれからも同じ人生を今までもこれからも繰り返す


はずだった

しかし何回目だろうか?もうカウントがされなくなった頃、ただ1度だけ、たった1度だけ

「やっと助けられた...」

とあの待ち合わせの場所で余韻を残し響いた、彼女は運命に抗ったのだ


ただ1度だけ、たった1度だけ...

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