死神の遺言
ロキ
死神の死期
俺も長らく死神業に努めてきた。
死神業もやなもので、死と関わり続けるというのもなかなかだるい。
そんな俺が死亡届を出した。
これは、死神が死ぬための用紙だ。死神も死にたくなるのだよ。
死亡届を出してから一週間後に俺は死ぬ。
だから、俺の命はあと一週間だ。
そこまでは俺はフラフラ過ごしていい。
プカプカとタバコを吸う。ここまでゆっくり吸うのは久々だ。
俺は日本の街をぶらつく。
人混みの中から脇道に行き、立ち止まってもう一服を吸う。
「ねぇねぇ!お兄ちゃん」
と、目をキラキラさせながら背の小さな少女が話しかけてきた。
「なんだい?」
俺はタバコの火を消して、問いかける。
「お兄ちゃん、なにもの?」
その目はあまりにキラキラしていて、なにかの核心をついたような目でもあった。
「どうしてだい?」
よく考えれば、俺が人間でないことがわかったのだろうか。
「お兄ちゃんの色がないから。」
「色?色ってなんなんなんだい。」
「色はねー、みんなにあるの!」
「そうなのかい。」
俺は死んでいると戻れることを言い出し、面白い子に出会いワクワクした。
「お兄ちゃん、うち行こ!」
と、手を引っ張られ住宅街の直ぐ側にある神社に連れてかれた。
「おとーちゃん!」
大きな声で神社に呼びかける。
「なんだー」
神社の中から、若い男の声が聞こえる。
「色のないお兄ちゃん見つけた!」
そう言うと、神社の中からドタバタとした様子で表に出てきた。
「この子がその兄ちゃんかい。」
「そうだよー!」
「そうか、よくやった。」と、頭を撫でた。
「部屋に行って、宿題をしとけよー。」
「はーい」と、少し不満げに言った。
「ほんとすいませんね」
「いえいえ、元気なお嬢さんで。」
と、言って周りを見渡すときれいな神社であるのに気づいた。
「で、あなたは何者ですか?」
また、お父さんと呼ばれる男は聞いてきた。
「なんで、そんなことを聞くのでしょう」
「私の娘には少し不思議なことができましてね。」
と、お茶を出しながら席につく。
話を要約すると、あのお嬢ちゃんは人の周りに色が見えて、その色で人の心の状態がわかるそうだ。自殺しそうな人でも色が少しはあるというのに、色がないのが不思議なそうだ。
まぁ、死神なので人ではないのだ。
「で、あなたは何者ですか」
「まぁ、人間ではないなにかですよ」
「そうですか。」と言いながら彼はお茶をすすった。
「私も少しだけそうゆうものが見えるのですが、あなたは死神か何かですか。」
「そうかもしれませんね。」
「なのでしたら、お手伝いしてもらいたいことがあります。」
死神の遺言 ロキ @Loooooki
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