会話劇『マジカルバナナ』

さくらぎ(仮名)

会話劇『マジカルバナナ』

「マジカルバナナ♪」

「バナナとったら黄色♪」

「黄色と言ったらレモン♪」

「レモンと言ったら梶井基次郎♪」

「梶井基次郎と言ったら『檸檬』♪」

「え?」

「え?」

「『レモン』ていまうたやん」

「いや小説の方の『檸檬』やから」

「あー」

「てか、あのさ、そこは普通『酸っぱい』じゃないん?」

「『普通』てなに?」

「…………」

「『普通』とったら♪――」

「いやそっから始めるんはヤバいて!なんか色々アレやって」

「草」

「天才か?」

「地獄や〜笑」

「…………」

「おけ!『檸檬』でおけ」

「いやええんかぃ笑」

「おけ!続き!」

「…………」

「……『檸檬』と言ったら丸善」

「丸善と言ったら本屋♪」

「本屋と言ったら静か♪」

うほど静かちゃうけどな。静かとったらスロー再生♪」

「スロー再生と言ったらマトリックス♪」

「マトリックスと言ったら凄い♪」

「凄いと言ったら凄い♪」

「は?」

「いや凄いもんは凄いやん」

「あーぃや、そーゆーことじゃなくてぇ」

「なによ!?」

「マジカルバナナやから」

「せやな」

「せやなて。そーゆーゲームちゃうから」

「ミスチルの曲みたいやな」

「いや……」

「だるいだるい笑」

「いや『凄いもんは凄い』てはっきりわな。やっぱりな、自分の意見をちゃんと持っとるんは凄いことやし、それをちゃんと主張できるんはもっと凄いことやで」

「いや確かにそうやけど。今はマジカルバナナやから。連想ゲームやから。な?連想しよ。マジカルバナナしよ?」

「『マジカルバナナ』てなに?」

「…………」

「あ〜〜そう来たか」

「哲学的やなぁー」

でバナナを狩るんやろ」

「どーゆー状況?笑」

「ちゃうねん!そーゆー話じゃないねんて今はww」

「いやわろてもーてるやんw」

「マジカルバナナもさぁ、うたら『自分はこれからこれを連想します』て意志表示の連続みたいなもんやから、やっぱそれは尊重されるべきやと思うわ」

「確かにな」

「せやけど!正論すぎて反論の余地ないけど!でもなんてゆーか、ほら、アレよ」

「アレとったら?」

「アレや!ほら、え〜〜〜、ほら。もうさぁ、話ぶっ飛んでもーてるから。『ゲームとしてのマジカルバナナ』やろうや」

「問題はまだなんも解決されてへんでぇ!」

「wwww」

「やめろってw」

「分かった分かったww個人の思想とか哲学とか、そーゆー話はまた今度しようや。こうやって集まるんがむずいんやったら別にLINEでもリモートでもええから。今はお堅い議論じゃなくて、楽しくゲームしようや……な?」

「しゃーないなぁ」

「最初っからそれうてや」

「いやずっと言うとったはずやねんやけどな……てかどこまで行ったっけ……?」

「もう忘れたわ」

「『マジカルバナナとったら』まで」

「いやだからそうじゃなくて笑」

「梶井基次郎」

「いやもうちょい先やろ」

「あー思い出した。えー、マトリックス」

「あーせや。はい続き」

「いや俺『マトリックスと言ったらすごい』てうたで?」

「じゃあ『すごい』から。なんか別のやつ。はい」

「すごいとったらギネス♪」

「ギネスと言ったらビール♪」

「ビールと言ったら苦い♪」

「苦いと言ったら思い出♪」

「ww」

「なにわろとんねん」

「いやごめんwなんかあったんかなおもて」

「それはお前アレやで、プライバシーのアレやで」

「あー……」

「主義主張の話もっかいやろか?」

「そうやぞお前!別になんもないけどや!」

「いやなんもないんかいww紛らわしいな!」

「じゃあ『思い出』以外で。続き」

「えー、苦いと言ったらゴーヤ♪」

「はいアウトぉ〜〜〜」

「はぁ!?」

「『ゴーヤ』じゃなくて『ゴーヤー』です〜」

「あーね」

「確かにそれはそうやな」

「いやお前誰やねん。てか別にええやん!通じてんから!」

「あかんて。そこはちゃんと『ゴーヤー』て、伸ばしよ」

「これは謝罪案件」

「沖縄県の皆さんに謝れ!」

「はぁ……いやごめんて……『ゴーヤー』な。伸ばすんやな。はい。沖縄と言ったらゴーヤー♪」

「ちゃうて」

「いや、『ゴーヤー』て、伸ばしたやん」

「いやそうじゃなくて。沖縄ちゃうて」

「は?」

「いやだから、お前は『沖縄と言ったらゴーヤー』が思い浮かぶんかもしれんけど、今は『苦いと言ったら』やで」

「あぁそーか……」

「忘れてもーてるやん」

「もうややこしすぎて分からんなったわ」

「はいはいはい、『苦いと言ったらゴーヤー』から。次」

「ゴーヤーと言ったら緑♪」

「緑と言ったら自然♪」

「自然と言ったら優しい♪」

「えー、優しいと言ったらおばあちゃん♪」

「おばあちゃんと言ったら知恵ち〜え♪」

「おぉ〜〜」

「なんの『おぉ〜〜』やねん笑」

「知恵と言ったら知恵の輪♪」

「知恵の輪と言ったらむずい♪」

「むずいと言ったら数学♪」

「数学と言ったら数字♪」

「数字と言ったら……なんやろ」

「あるやん」

「あるかぁ?」

「あるて」

「俺二個ぐらいあるわ」

「マジで?すげぇな」

「俺からやろか?」

「おん、頼むわ」

「ええで。数字と言ったら無限♪」

「分からんで」

「え?」

「有限かもしれんやん」

「またか……」

「ワロタ」

「あーじゃあ、無限やと仮定して」

「おけ」

「いやええんかぃ」

「いくで?数字と言ったら無限♪」

「無限と言ったら想像力♪」

「想像力と言ったらゆ〜め♪」

「夢と言ったらパプリカ♪」

「そうきたか笑」

「あれおもろいよな〜」

「原作も映画も両方おもろいからな」

「俺は短篇派やわ」

「さすが心理。詳しい」

「今度持ってくるわ。有名どころ以外におもろいやついっぱいあるから」

「よろしゅう〜」

「てゆーか寒ない?エアコン何度?」

「6.5。上げよか?」

「よろしゅう〜」

「ほい」

「どこまで行ったっけ?」

「パプリカ」

「あー。えー、パプリカと言ったら赤い♪」

「そうなんよな。黄色は甘すぎるんよな」

「わかるかもしれん」

「赤いと言ったら赤ずきんちゃん♪」

「赤ずきんちゃんと言ったら狼♪」

「狼と言ったらき〜ば♪」

「牙と言ったら鋭い♪」

「鋭いと言ったら痛み♪」

「おぉ〜〜」

「だから何の『おぉ〜〜』やねんてw」

「やぁ、感心しました!」

「おぅ」

「なんで敬語やねん」

「いや別に。はい続きを、どぞ!」

「痛みと言ったら虫歯♪」

「虫歯?」

「いや虫歯ってめっちゃ痛いからな?」

「俺一回もなったことないわ」

「マジで?すげぇな」

「つるっつるやから俺の歯ぁ」

「ほんまやん。ホワイトニングやな」

「マジもんのナラルホワイトニングやで。ナチュラルホワイトニング」

「噛んでもーてるやん」

「なぁ、そう言えばさぁ」

「なに?」

「虫歯ってなんで虫歯ってうん?」

「歯ぁが虫食いみたいになるからやろ」

「最悪やん」

「最悪やで。めっちゃ痛いし」

「な」

「てかなんの話や」

「虫歯からやで」

「虫歯とったら、じゃあ、痛い♪」

「痛いと言ったら怪我け〜が♪」

「怪我と言ったら功名♪」

「功名と言ったら武士ぶ〜し♪」

「武士と言ったら戦国時代♪」

「戦国時代と言ったら織田信長♪」

「織田信長と言ったら本能寺♪」

「本能寺と言ったら明智光秀♪」

「明智光秀と言ったら裏切る♪」

「裏切ると言ったら最後の晩餐♪」

「おぉ」

「なるほどな」

「最後の晩餐と言ったらキリスト♪」

「キリストと言ったら宗教♪」

「宗教と言ったら救い♪」

「救いと言ったら♪……なんや。分からんわ」

「確かにな」

「スケールがでかすぎや」

「てかさぁ、もうそろそろ飽きてきたんちゃう?」

「ん〜〜」

「まぁ」

「わからんでもない」

「作者は『もうネタ切れや』うとるで」

「は??」

「マジで?語彙力、!」

「ここで画面の向こうの聴き手の皆さんにもインタビューしてみましょう――いかがですか、飽きてきましたか?」

「………」

「………」

「………………」

「なぁ」

「なに?」

「お前ら誰と喋ってんの?」

「え?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

会話劇『マジカルバナナ』 さくらぎ(仮名) @sakuragi_43

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ