第2話 授業
昨日の長いホームルームが終わったあと、ボクは自分の部屋に荷物を置いて、敷地内のコンビニに行って日用品を調達した。敷地内だから、普通のコンビニより少しだけ安い。染井学園の寮は個室で、日用品の支給などは行われない。だから、自分の持っているお金から買わなければならない。食事は提供されるが、その点以外は一人暮らしとほとんど変わらない。
初日は何人かの友達ができた。一人目は寮で隣の部屋の東川先輩だ。彼女はとても優しくて、まだこの学校に入学して間もないボクに規則や学校生活で便利なことなどたくさん教えてくれた。そして二人目は同じクラスの
前置きが長くなっちゃったけど、今日から授業が始まる。みんな勉強ができるからきっとカリキュラムははやいのだろう。楽しみだ。
教室に行くと、すでに5人ぐらい来ていた。みんな楽しそうに話している。
(いいなぁ)
まだ佑樹は来ていない。
席でぼーっと待っているうちに、ホームルームの時間が始まった。どうせ役に立たない話だろうと思って聞き流していたら、先生がとんでもないことを言い出した。
「誰か、生徒会長をやりたい者はいないか?」
(え、生徒会長って高二とか高三の先輩がやるんじゃないの?この学年って、昨日入学式を終えたばかりだよ???)
ボクたちが困惑しているのを察した先生が、
「あ、説明するのを忘れていたね。この学校では、どの学年でも生徒会長になる可能性があるんだ。なぜなら、個々の才能に秀でた人たちが集まっていて、みんな自分がやりたいことに時間を使うんだ。それで、長時間拘束される生徒会役員にはなりたがらない。ましてや生徒会長なんて、だ。もちろん立候補したら最低でも生徒会の役員になれる。」
(そういうことか、やってみようかな)
「だからやりたい人がいるなら今手をあげて。」
ボクは手を挙げた。
「お、本庄くん。そのほかは?」
「よし。じゃあうちのクラスからは本庄くんだけが立候補ということでいいね。」
(いきなり立候補しちゃったけど大丈夫かな。)
それから一週間が経った。ボクは無事、生徒会役員になった。それも生徒副会長。生徒会長は他に立候補がいて、その人になった。生徒会での活動も増えて、先輩とも仲良くなった。生徒会はアットホームな感じで、みんな楽しくやっている。
学校の授業も数Iをものすごいスピードで進めていて、その範囲で入試問題も解いている。佑樹はつまらなそうにしているが、数学が得意でない生徒は毎日苦労している。だけど、これは他の教科にも言えることだ。他の教科とは言っても、高1ではまだ主に国語と数学と英語しかやらない。校内模試も3科目だ。その代わり、放課後に理科や社会の講座があって、好きなものを無料で受講することができる。ボクは大学受験で物理と化学を使う予定なので、その2科目の講座をとっている。授業と放課後講座、それに生徒会活動で毎日はとても忙しい。
やがて、校内模試の案内が配られた。授業の進度も違うので、模試もクラスによって問題が違うらしい。1つ疑問に思ったのが、それで自分の立ち位置がわかるのかということだったけど、それはまぁいいだろう。どうやら、各科目の上位5人は別クラスになるらしい。このクラスにはそれぞれの科目が得意な生徒がいるから、科目別にクラスが分かれるらしい。ボクはその5人にひっかからないとわかっていたが、猛勉強した。
模試も終わり、結果が返された。別クラスになる人の名前も貼り出された。佑樹ももちろん数学の別クラスに入っていた。驚いたのが、ボクが僕が国語のクラスに入ったことだ。いくら勉強したとはいえ、このクラスのみんなは別格だと思っていた。いつかは外部模試も受けてみたいな。
そして授業が始まった。早速新しいクラス編成だった。普通のクラスは進度は変わらないから、別クラスはどういう授業をするのか不思議だった。昼休みになって、佑樹に数学のクラスがどうだったかを聞いてみた。
「数学の別クラスどうだった?」
「授業というよりは、演習の時間だったよ。初めに少し新しいことをやって、そのあとは私立大学の入試問題を解いた。すごい楽しかったよ!」
(国語はどうなのかなぁ。)
国語の授業は初めに漢字や文法を復習して、私立大学の入試問題を解いた。数学の別クラスで佑樹が解いた問題とと同じ大学なのかな。そこまで難しくもなく、合格者の平均点は取れたようだ。でも、流石にもっと取れている人もいた。
今日は充実した1日だったなぁ。明日からも頑張ろう!
ハイスペックばかりの学園に紛れ込んでしまったごく普通のボク。 @yuki_yamanoue
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