第8話〜天使様が選ぶのはカップル席〜

彩月の破壊力のある一言で思考停止してしまった俺だが何とか再起動を果たし、今は無事に2人で電車に乗っている。


「怜侑君はショッピングモールとか行くの?」


「学校関係や私生活で必要なものを買いに行くぐらいだな。あとは読書用の本かな。バイクがあるから移動には困らないしな。」


そう話しかけてきた彩月。電車の中なので、声は最小だ。電車の中で大きな声を出すと迷惑になるからな。


「バイク乗ってるんだ。原付?」


「いや、中型。1年以上たってるから2人乗りもできるぞ。」


「ふ〜ん…今度乗ってみたいな!」


「今度な。楽しみにしとけ。」


そういった話をしていると、もうついたようだ。……早いな、あっという間だ。


「ほら、降りるぞ。」


「う、うん。」



「流石休日だな。意外と人が多い。」


……この分だと確実に学校のやつらが居るだろうな。俺はいいが彩月は大丈夫だろうか……。


「私は大丈夫だよ。他の人ならともかく、怜侑君だし。」


ま、彩月がいいなら俺が気にする必要は無いな。……てか今心を読まれた気がするんだが…


「あはは、気のせいだよきのせい。ほら早く行こ!席なくなっちゃうよ!」


「やっぱ気のせいじゃないよな?今ばっちり心読んだよな!?って笑って誤魔化すな!走るな!!」



子供のように走り回る彩月をなだめて映画館に来た俺達は、彩月の


「人が多いから、手分けしよ?私は席の予約取ってくるからポップコーン買ってきて!」


「その方が良さそうだな、時間も無いし。……味は?」


「キャラメル!お金は後でちゃんと渡すからね!」


と言う言葉により、各々の配置に付いていた。やはり、映画館と言えばポップコーンだよな。これがないと映画は始まらないんだよ。


とは言え、俺は甘いのがそこまで得意ではないし、もし彩月が違う味が食べたくなった時のことも考えて塩だな。


「次の方、どうぞ〜。ご注文をお聞きします。」


「えっと、ポップコーンのM2つ、キャラメルと塩1個づつで。ドリンクは……」


しまった、ドリンクを聞くの忘れていた。……紅茶を飲んでたからそれ系統は行けるのだろうが、うーん…


「ドリンクは、コーラL1つとアイスティーのL1つで。」


「かしこまりました。直ぐに2350円になります。」


お金を支払い、出てくるのを待つ。


「プレミア席なんて初めて来たよ〜。」


「カップル席って呼ばれてるらしいな。俺らにぴったりじゃん」


「ねえねえ、この映画どうだった?」


などなど、様々な声が聞こえてくる。流石土曜日。


お、ついに料理が来たな。けど流石に多いな。


「片方持つよ。…ありがと、注文してくれて。」


「ちょうどいい所に。こちらこそ席を取ってくれてありがとうだ。」


彩月にそう言って、片方を渡す。


「飲み物聞き忘れててな、すまん…。アイスティーを適当に選んだけど問題があるなら取り替えるよ。」


「ううん、むしろアイスティーでよかった。あんまり炭酸飲めないんだよね。よくアイスティー選べたね。」


「いや、紅茶飲んでたからそれなら行けるかなと。…お、ゲート開けてくれたみたいだぞ。」


「うん、いこっか。…はい、チケット。」


「ありがとう。席についたら代金渡すから。…ん?」


「どうかした?」 「いや、なんでも。」


……プレミアチケットってかかれてるような気がするんだが……安かったのか、それしか空いてなかったか。後者かな。あんまり気にしないようにしよう。


「所で、今日見るのはなんだ?」


「ふふ、じゃーん。今有名な!君と見る空は〜 だよ!予備知識なしで見れるし、恋愛モノだけど。」


「そっか、なんの予備知識も要らないなら楽しめそうだな。……席は、ここか。」



恋愛物かー、あまり縁がないから楽しめるかは不安だが、まあ彩月が選んでくれたものだ。ゆっくり見るとしよう。……てか


「席、近くね?こんなもん?」


「こんなもんこんなもん。ほら、もう始まるよ」


と言いつつ、腕を絡ませてくる彩月氏。流石に意識してしまうけど辞めろとは言えないし、あーもうどうすりゃいいんだ…。


「ふふふ、かっわいいなぁ……」

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孤独なはずの高校生店主様 〜学年1平凡な男、学年1の天使に堕とされる!?〜 マスター @masuta1506

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