人工知能といえば、夢のあるものだも思う。少なくとも、私は良き側面を見れば人を、国を良くするものになるのではないかと思う。
だが、人工知能を道具と捉えるのであればやはり人の使いようだと、作品を読んで強く感じた。
素晴らしき技術を趣味に用いれば、人の趣味は彩り豊かになるだろう。生活に用いれば、夢が現実になるだろう。軍に用いられれば、抑止力になりうるだろう。
だが、行き過ぎた早すぎた技術とは世界を滅ぼしかねないパンドラの箱となる。
今の世相を鑑みるに、この作品には世界情勢に対する皮肉のメッセージが込められているのかもしれない。先進技術は時として破滅に導きかねないと。ある国の正義は、他の国にとって決して正義ではないと。
色々と考えさせられる作品でもあると、私は思います。
僕の頭からは出てこない小説です。
たとえば、この「人工知能戦争」は、アメリカが超高度人工知能を手に入れて世界制覇する話ですが。
もともと最強のアメリカが最強の人工知能を手に入れたら、勝って当たり前だから面白くないだろう? 北朝鮮みたいな弱い国や、オウムみたいなカルト教団が手に入れて、アメリカや日本より強くなってしまうほうがエキサイティングじゃないか? フィクションなんだから世界をひっくり返せよ。
ぼくだったらそう考えて小説書きます。
でもこの作者はそうは考えないんです。
勝って当然の国が、当たり前のように勝つ姿を、身も蓋もなく、楽しそうに描くんです。
何の恥ずかしさも罪悪感も感じられないんです。
前に書いていた、中国とアメリカが戦争する話もそうでした。
そこが、トゲのように刺さってきて……不快感なので、逆に面白いです。
世の中こんなものなのかなあ……??