神と人が一緒に暮らしている世界と聞いて、ああファンタジーかと思った貴方、ちょっと違います。
神や天使といった善神といわれる連中が、堕落した人間と魔物に邪神をエルサレムの如く壁に囲まれた都市から放逐して暮らしている、相反するものが解離した世界。
最近、アリータ: バトル・エンジェルとして実写映画化された銃夢や、ゲームの真・女神転生2のような感じでしょうか。
都市の外に住む人々、いや堕ちた者どもの縄張りに一人の少女が迷い込んでから話は始まります。
主人公たちは邪神、悪魔、堕天使、魔獣etcと呼ばれる連中達。彼らが剣や銃で抗争をしたり、退廃的に酒や煙草を嗜むアクションノベル。
もちろん転生や渾名などではなく、本人(神?)なので神話などが、個々神の、また、この相克する世界を象る設定や物語の背景と密接に関係しております。
ええ、そうですアニメ化されたら日本や中国など東アジア以外に輸出するのが難しい設定です。この作品が気に入った方は日本に産まれたことを喜びましょう。
ただ、一つ個人的にキツイなと思ったのが、東屋を四阿とか難読の漢字をあててる場面が幾つかあること。
作品の売りなんだろうけど、何回か検索して読むのが止まってしまった。
web小説民、厨二病者よ。純文学のタグに恐れるな。これはダークファンタジーの金字塔だ。
僕はTwitterでこの作品に出会い、この作品の為にカクヨムに登録した。それくらい、芸術的な作品だったからだ。
作者が描き出す世界は、唯一無二。善悪、倫理、等々の風刺を含ませながら、しつこくなく、恐らく物語を楽しませながら読者に考えさせることを前提とした圧倒的執筆力に、僕は感嘆せざるを得なかった。
緻密な描写は、美しくも残酷な世界を創り出し、登場人物の心の機微を丁寧に紡いでいる。詩のように美しく、歌のようにリズムを取っている文章は、非常に読み易い。読ませてくる、そんな文章だ。物語の展開も早く、飽きることがない。
単語も難しいようで、きちんと意味を持って使われているところに、僕は好感を感じた。この作者は理系学生のようだが、尋ねてみると、きちんと一つ一つ意味を調べながら書いているらしい。造語もあるようだが、この世界特有の物事を示すのに、非常に効果的だと感じた。見習いたいところだ。
散らばされた伏線は、読者を巻き込んで、想像を膨らませる。現時点では、インフェルノという土地での出来事をメインに描いているようだが、この世界が頭の中にあり、更に多くの伏線を入れ込みながら、ほぼ書き溜めせずに執筆する作者の、頭の中がどうなっているのか。僕は気になって仕方がない。
まだ多くの謎が散りばめられた状態の作品だが、この作品をこれから先も見守っていこうと思う。
何といっても高い文章力と個性豊かなキャラクターが魅力的な作品です。
描写表現に至っては、今まで読んだどんな作品よりも優れており、まるで一つの映画を見ているような、そんな錯覚すら覚えてしまう程です。
そして、設定の作り込みも素晴らしいです。
既存の神話等を活かして創られた世界観は、J・R・R・トールキンの「指輪物語」を彷彿とさせる、非常に細かく作りこまれた物語となっています。
話こそ長いですが、そのボリュームに似合った満足感を壱話壱話で得られる、まさに最高の作品です。
考察点も多くありますので、そのような面で楽しむのもまた一興でしょう。
流行りとか関係なしに、一読すべき作品だと思う。
最近はなんも考えなくて良い作品とか多いけど、これはすげーって、シンプルに思えるものに出会った気がする。
キャラもいいし、言葉もいいし、独特の世界観がすごい。内容も考えさせられるし、普通におもろい。色んな社会問題とか、最近取り上げられる問題の風刺的な話が、たくさん入れ込んであって、楽しく読みながら学ぶってこういうことなんだって思った。
チートとか転生とかが多いけど、テンプレから外れたこういう作品を、引き続き頑張って書いてってほしい。
単語は確かに時々難しいけど、バカな俺でも全然読めるし意味も伝わるから余裕で読める。
まじでおすすめ