第五十三章 ハルシャ王
第五十三章 ハルシャ王
スターネーシヴァラ城の
ラージャ王の
「クリパール様、本当に行ってしまわれるのですか?」
ラーケーシュが言った。ラーケーシュはスバル医薬長の
「はい。今回のことで、いろいろと考えるところがありました。城を出て、祭司としてではなく、一人の人間としてもっと世の中のことを学びたいと思います。」
クリパールは言った。アジタ
「そうですか。」
ラーケーシュは
「アニル様。」
クリパールが
「何ですか、クリパール?」
アニルはクリパールが自分に声をかけるなんて
「アニル様、お聞きしたいことがあります。」
クリパールが回りに聞こえないように声を
「何でしょう?」
アニルも声を
「次の王はハルシャ王子で間違いありませんか?」
クリパールがそう尋ねた。アニルはまた
「なぜそんなことを聞くんです?この城を去るあなたには関係のないことでしょう?」
アニルが
「私はカルナスヴァルナ国から帰って来てこの城に入ろうとした時、城門のところで兵士たちに
クリパールは
「
アニルは聞き返した。
「はい。
クリパールがそう言うと、アニルは驚いた顔をした。
「私はその者から次の王への
クリパールがそう
「
アニルが
「『カーラーナルがやって来る』。」
クリパールがそう低い声で言った。アニルははじかれたような
「その者はそう言っておりました。しかとお
クリパールは明るい笑顔でそう言うと再び自分を送り出す
「アニル、ラーケーシュ、そろそろ時間です。」
プータマリ司書長が人ごみを
「アニル様、行きましょう。」
ラーケーシュが笑顔で言った。ラーケーシュはアニルの
「ええ、行きましょう。」
今まで
「ハルシャ王子、そろそろ時間だよ。」
ハルシャ王子を呼びにルハーニが部屋にやって来た。
「今行く。」
ハルシャ王子はそう言うと
「おお、これはこれは。」
クールマが顔をほころばして言った。
「
シェーシャが
「そうでございましょう?」
今までハルシャ王子の着替えを手伝っていたナリニーが出てきて言った。
「でもやっぱり変じゃないか?ジャラジャラしたのとか、ヒラヒラしたのが一杯ついてるし…。」
ハルシャ王子が自分の
「そんなことないよ。王様らしく見える。」
ルハーニが言った。
「そうかな?」
ハルシャ王子がちょっと気を良くした。
「うん、そんな服を着ている人、今まで見たことがない。」
ルハーニはそう言った。ハルシャ王子は馬鹿にされた気がして怒ったような顔をした。
「さあさあ、行きましょう。アニル様たちが首を長くして待ってますわ。」
ハルシャ王子がルハーニとケンカを始める前にナリニーが言った。
ハルシャ王子たちが
「ハルシャ王子、こちらへ。」
「ハルシャ王子、行ってください。」
ラーケーシュが背中を押した。
「みんなが君を
ルハーニがぽつりと言った。
「え?」
ハルシャ王子は聞き返した。
「ハルシャ王子、行って下さい。」
ラーケーシュが急かすように言った。ハルシャ王子は
玉座の前には階段があった。王が
「そこで止まってください。」
スバル医薬長がたくさんの
「ハルシャ王子、私はまだ正式に祭司長になった訳ではありませんが、スターネーシヴァラ国の祭司長としてあなたにこの
アニルが言った。
「うん。」
ハルシャ王子は
「では、始めましょう。」
アニルはそう言ってにっこりと
『
アニルはゆっくりと
『汝、ハルシャ・ヴァルダナは今この瞬間よりスターネーシヴァラ国王である!』
アニルは声
「ハルシャ王、
アニルが
かつてスターネーシヴァラ国の大臣であったと思われる人や、武官、文官、兵士、侍女、祭司たちがいた。ハルシャ王子は玉座の間を埋め尽くす霊たちを
「兄上!」
ハルシャ王子は思わず声を上げた。ラージャ王は幸せそうな笑顔を浮かべて手を
「ハルシャ王子、ラージャ王の
アニルがまた
「あれが父上…。」
プラバーカラ王はハルシャ王子が物心着く前に亡くなっていたので、アニルに言われるまでハルシャ王子は誰だか分からなかった。プラバーカラ王とラージャ王はよく似ていた。並んでいると親子だと
「あっ。」
アニルが小さな声を
「アジタ祭司長もあなたを祝福しに来てくれたようですね。」
アニルが
ハルシャ王子はたくさんの霊たちに埋もれているルハーニたちに目を留めた。
「みんなが祝福してるってこういうことか。」
ハルシャ王子はさっきルハーニに言われたことを思い出した。みんな優しい顔をして拍手をしていた。
「みんなありがとう!」
ハルシャ王子は玉座の間に響き渡る声で言った。
これからハルシャ王の
おわり
スターネーシヴァラ国物語~シャシャーンカ王の罠~ 相模 兎吟 @sagami_togin
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