はじめ実は設定だけ見て「自力で動ける生首は俺の嗜好と違うなあ」と思って読み始めたんですがそんな違和感は冒頭で軽くふきとびました。美しくも悲しく、そしてグロテスクな愛の物語です。間違いなく傑作
実在しない病気ということなので、当然ののことなのかもしれませんが、登場人物をとても魅力的に引き立てる設定でした。フィクションなのを忘れるくらい、凄く引き込まれてしまいました…。夢中になって読み終えて、ふたりの気持ちについて、いろいろと想いを馳せてるうちに、これがフィクションなことを思い出しました…。
淡々と、はたしかにそうですが、すごい世界を作られていると思いますし、人の営み……のような一端を、壮絶な一端を私は感じました。主人公が語るレミのヴィジュアルは否応なく浮かんできて、避けがたい苦しみが胸に落とされ、感情に浸っている暇もなく物語は進んでいき、色々なものが去っていく。不気味とも悲しいとも違う不可思議な物語。私の「おすすめ」は皆様の「好き」と必ずしも一致しないかもしれませんが、それこそ「性癖」のなせるワザではないでしょうか。