4話
指定された住宅にあったのは派手な下着とかなり際どい下着だった、終始げんなりしながらも衣服を旅行鞄に詰め終え、もと来た道に戻った
「ここが異世界…」
目映く輝く空を見上げる、朝日もろくに見れなかったあの頃とは違う、自分は今、自称神が言っていた事を信じるならの話だけれど、地球とは異なる世界に転移してしまっているのだから
(空気が美味しい、いままでの生活からしたら考えられないな、自分がまさか異世界に)
八百屋に果物店、雑貨屋に揚げたてコロッケの店、数多くの店が佇むストリートマーケット、人種が違うのだろうか店内には水色髪の長耳娘、頭にひょっこり栗色アニマル耳の老婆など多種多様な民族が立っている。
(社畜時代、自宅に帰ってきて脳死しながら観ていたあの光景が目の前に!)
激務から解放された解放感からかあまりの嬉しさに感情が爆発して踊り出してしまいそうだ
肩はリラックスして肘を軽く曲げ、指先はしなやかに円を描き軽く回る、気がついた時には公衆の面前でダンスを踊っていた
「あんた、何してんのよ?」
視線は彼の体の股間辺りに釘付けだ
「己の股間が目の前にィィィ、おぉぉぉぉぉお」
「ど、どうしたの」
「何て言うか天国から地獄に落とされた気分です」
「何言ってるのかわからないわ」
「それより、どうして出てきちゃったんですか、隠れてるって言ってたじゃないですか」
「あまりに遅いから迷ってるんじゃないかと思って迎えに来たのよ」
「すみません、見慣れぬ土地で少しゆったりしてました」
「こんなありふれた光景を知らないって、あんた、どんな田舎から来たのよ」
まだ昼下がりだからか人数はそんなに多くないが次第に人々が集まって来ている、既に横の揚げたてコロッケの叔父さんと昼飯終わりのサラリーマン何組かは目をあんぐりと開けこちらを見ている
「そんなことよりも早く隠れましょう、ここじゃ目立ちます」
「そうね、こっち」
社畜はノンダクレについて行き、再び路地裏に入った。
飲んだくれ『勇者』と社蓄『勇者』の異世界冒険記~ブラック企業勤めの俺が異世界で社蓄辞めて金髪のオカマイケメン勇者とバディ組みました~ Healios @jyking
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