コメディの中に隠し味のようにチラ見えする闇

上の一言は感想で書いて作者様に「芯をつかれた」と言っていただいた一文です。

前世が当たり前にある世界で、前世を持たない主人公アウト。
アウトは陽キャで酒場を渡り歩いて初対面の人とも直ぐに仲良くなるようなキャラ。
明るくコメディ調で、だけど、主人公もメインキャラ達もほんのりと闇を垣間見せる瞬間がある。

この闇は、3章に入ると前面に出て来て、キャラクター達に、そして読者に重く伸し掛かってきます。
闇を抱えながら、だからこそ明るく振る舞う。
光と闇のコントラストが鮮明で、惹き込まれました。

この作品は、現在、前世、絵本と3つの物語が影響し合い紡がれて行きます。
それらは絶妙に共鳴し、個別の筈が、一本の物語としてきれいに纏まっている。
これがもう、見事。はいじ様の技量が素晴らしい。

とにかく完成度が高い一品です。
BLは苦手、と言う人も居るでしょうが、どうしても生理的に受け付けない、というのでもない限り、ぜひ読んでいただきたく思います。