大人が大人であるためにつく、やさしい嘘、身勝手な嘘
- ★★★ Excellent!!!
小学生のカナの前に現れた叔父の『マナちゃん』。
モデルを名乗る彼は、それまで周囲にいたどんな大人とも違う、
いわゆる悪い大人だった。
作品の、子供から見た大人の世界を通して見える、
大人が子供にどう見られたいかというささやかな夢と虚構。
そこに垣間見えるごく自然なマナちゃんのやさしさが心地よく、
彼の生き方にカナと同じようにぼんやりとした憧れを向けてしまう。
夢を見る子供と、夢を見続けて破れた大人。だからマナちゃんは嘘を付く。
でも、何者になれなくても、何者かになれるかもしれない。
『著作権フリーおじさん』という生き方が
マナちゃんにもたらしたモノが見えるラストも
救いのようで読了感も爽やかで良い。