おれとこども

バブみ道日丿宮組

お題:俺の狼 制限時間:15分

おれとこども

 人を襲うとどんな動物であろうと殺傷処分を受ける。

 何人もの仲間たちがそれで次々に消えてった。

 最初のうちは悲しくてやりきれない気持ちでいっぱいになった。けれど、あいつらは馬鹿だったから死んだのだとけなすようになった。

 狩りはバレないようにするのが基本とされるがそんなことはどうでもいい。人の味を味わうのにマナーなんてヘドがでる。

「……どこまでついてくるんだ」

 後ろを振り返れば、小さな人影。

「連れてって」

「……なんでだ? お前の親を殺したのは俺だぞ」

 人影が電灯の下まで歩いてきたので姿がはっきりとする。

 犬の耳を持った獣人。人と混じった獣の子どもだった。

「弱かったから死んだの。あたしは強くなりたい」

「……もっとまともなことをいえや」

 この世は弱肉強食の世界だ。

 強さを求めるのは間違っちゃいないが、俺を頼りにするのは間違ってる。

「だってあなたはあたしを殺さない」

「……殺してほしいのか?」

 静かに子どもは頭を左右に動かす。

「あたしは仇を取りたいわけじゃないし、死にたくもない」

「……親を食われたのによく平気なものだな」

 俺が言えることじゃないが。

「あたしは異端。嫌われてた。みんなと違うから」

 獣人が人の世界にいれば、畏怖の目をもらう。俺も体験したことだからわかる。

「あなたは同じ」

「同じなもんか」

 こっちは親を食って空腹を満たしてるんだぞ? 同じであってたまるか!

「あたし食べた」

「何を?」

「人と獣。親の血」

 真顔で言葉を作る子どもに鳥肌がたった。

 ……同じ? こいつは同じどころか獣じゃないか。そんなやつを俺のそばに置くメリットがない。デメリットだらけだ。

「あたし出す。身体」

「……そういう特殊な趣味はねぇ。あっても人食らいなだけだ」

「じゃぁ成長。そしたら。他にあたしない」

 こいつは自分の価値をその身体に見出してるのか。

 白く長い髪の毛と、獣人のしっぽ。ゴシックに包まれた服を見れば、ある一定層の人は食いつくだろう。

「それでいい。駄目?」

 断っても後ろを永遠についてくるんだろうなと考え始め、

「……技は自分で学べ」

 デメリットを俺は選んだ。

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おれとこども バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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