アンブレラはノーサンキュー

「はー紫外線の事を考えないでいいなんてなんて素敵なのかしら」楓はつぶやく

「そんなに苦労するものですか?紫外線って」山田は水を差す

ポンポンと山田の肩を叩きながら楓は言った

「女子は大変なのよ。日焼けすると。お肌が荒れるの。だから女子は日傘や日焼け止め塗らないと後々大変なのよ。」


「日傘?ってなんですか?」山田はまっすぐな目で楓に話した。

「本気で聞いてるの?そうじゃないと殴るわよ」

いたって真面目だと思った楓は説明する。


「いや、だから。雨が降ったり強い日差しとかあるでしょ?あっ」

「そっかこのドームの中じゃ雨も降らないし日差しも管理できるんだった」

ようやく楓は山田が傘の存在を知らない理由が分かった。


山田はふと何か思いついたのかコンピューターと思われるものを操作しはじめる。


「これは長くなりそうね」楓はそう思ったのか腕時計型携帯をいじりはじめた。

女子高生は20年先に時は進んでも暇な時間のつぶし方はかわらないようだった。


それから楓はロボットが届けてくれたランチを食べ時間をつぶした。

未来に来てまで時間をつぶすとは恐らく思わなかっただろう。


「ふぁ~あ~」と楓はあくびをした時

「出来ました」と山田が大きな声で楓に新製品と思われる傘を手渡した。

「これよ。これ。傘よ」


「開いてみてください」

楓は傘を開く

「普通の傘ね」

「そこのボタンを押してください」

「え?自動で閉じるってのはあるから。それ珍しくないし」

「いいから押してください」

しかたないのでボタンを押すと

傘の布の部分がひかりはじめた。

「なんとこの傘、GPSが入っていてボタンを押すとその場所の星が見えるようになるんです」


「へぇ~すごいわね」楓は生まれて初めて傘を内側から見て感動した。


「どうです。第一号は。これは売れますよ。さっそく発注かけます。今週末には発売されますから」

「そう、それはいいことね」

「そこでこの試作品第一号をお譲りします。これはプレミアがつきますよ」

山田は興奮している。

「気持ちはありがたいんだけど。いらないわ」

「え?どうして?」

「だってドームの中にいれば雨も降らないし強い日差しもない。傘なんてなくても十分な生活よ。それより今回のお給料弾んでね。

じゃあもう帰るわ」

そういうと楓はエレベーターに入っていった。

そして山田は途方に暮れた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この世界に私はいない。 若狭屋 真夏(九代目) @wakasaya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る