権力を持つとは、責任を負うこと。

女神の怠慢により、加護を与えていた【主人公の母親】が【過労によって】命を落とし、主人公は不遇な生涯を送ることとなる…
そして、狼に襲われて死んだところから物語は始まる。
死後の世界で主人公の母親について情報が明かされ、【女神の怠慢】が明らかになった。
神も女神も【加護を蔑ろにした代償】である【世界の崩壊】を防ぐために、主人公に加護を与えて蘇らせるも、主人公はそんなの要らないから死なせてくれ、もしくは母を蘇らせてくれと乞い願う。
それは出来ない、と(神視点では諭され)見捨てられて蘇った直後の主人公に、妖精が魔法を放ったことで再び死後の世界に戻ることとなり、妖精の女王までもが主人公の被害者となった。
結局は魔神がしっかりと話を聞いて取り成し、更には神の遣い、女神の遣いが守護をすることでようやく物語は始まる。

結果、この時点で彼には【神の加護】【女神の加護】【天使の守護】【天使の祝福】【妖精王の守護】【妖精王の祝福】【魔神の祝福】ととんでもないレベルの力が与えられることとなり、更には神の遣い、女神の遣いが守ることとなったのだ。

彼に【柔軟な判断】という言葉は存在しない。
あるのは【敵】か、【敵ではないが味方でもない】か、【味方】か。
そして【約束を守れないなら存在する理由がない】。

約束を守ってくれるなら味方、守られなかったらそれは敵。仕掛けてくるなら全て敵、団体だろうとなんだろうと知ったことではない。
間違いなく、彼のココロは壊れているのだろう。だが、それが彼の生きる理由でもあるのだ。
まともに育てられておらず、精神年齢も決して高くないがゆえの極端な反応だが、これが大きな波乱を世界に起こしていくのだ。

おそらく、第一話のこの言葉が彼の立ち位置を一番端的に象徴しているだろう。
「地獄の海に浮かぶより現世に戻る方が辛いとは。余程、女神は見放しておったか」

文体についてはかなり読み手を選ぶ。
ただ、少年らしい愚直さと、まっすぐな気持ちが表現されるにはこの文体が最適だと思う。

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