脳内1人語りがクセになる

ひとわたり決着が着くまで一気読み。始まりの部分を除いて、全て主人公目線で、主人公の頭の中で考えている事だけで話が進むのがとても興味深くて良かった。

そもそも、自分で何かを考える時に、突然に意識が移ることがあるのを思えば、主人公の思考の変わり目が改行なしの文章で表わされているのは少しも不自然ではない。そう、人の考えなんてこんなもの。

これが読みずらいという人は、おそらく、主人公の思考だけを追って、その周りに起きている状況を読み手が推測しなくてはいけない作風に、ついていけてないんだと思う。

でも、そういう作りだとわかった上で、主人公の思考に沿って読んでいければとても面白い。ここまで徹底的に主人公の考えている事は理解でき、周囲の人の考えは分からなくてその言動だけで判断しなくてはならないお話は、今まで読んだ事がなかったから。クセになります。

主人公の考え方は私は好き。生きることにとても真摯に取り組んでいるからこそ、F級の命を軽視するギルドへの怒りが大きいのも、ルール無視した要求を受け入れないのもよく分かる。一応ギルドとの決着はついたようだけれど、これからはどうなるのかなぁ。どんな世界にも道理の解らないやつはいるもので、まだまだトラブルは続きそう。

読解力に自信のある方には是非チャレンジを。分かりやすい普通の小説としての体裁を求める人には理解は難しいかも。

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