温かくて、キュートで、切なくて。きゅんきゅんがぎっしり詰まった物語！

純粋に人を恋い慕う喜びや痛み。人を深く想うからこそ生まれる苦悩。誰かに恋をし、誰かを愛する時に生まれるすべての感情がぎっしりと詰まった恋愛長編です。

サラリーマンの今井は、雨の公園でずぶ濡れになっている女子高生を見かけ、ノベルティ用に車に積んでいたタオルを彼女に貸してやります。それが羽月との出会いでした。少女のように純粋な羽月が今井へ向ける愛らしい想いに、今井は次第に引きつけられていきます。けれど、羽月はまだ女子高生。大人な対応を見せつつも、自分の想いの変化に戸惑う今井。実は彼には、ある悲しい過去があり——。

作者様の心情描写や会話のやりとりはとても透明度が高く生き生きとしており、読み手の脳にストレスなくすっと染み込みます。やがて、次第に深まっていく登場人物たちの心の切なさや痛み、苦しみ、後悔。場面ごとのキャラクターそれぞれの心の動きがとても細やかに、丁寧に描かれ、読み手にひしひしと迫ってきます。

羽月と今井の間には少なからぬ困難が横たわっていますが、温かな友人や家族、同僚など周囲の人々に支えられ、二人はそれぞれに苦しみながらも前へ進み続けます。そして彼らがどんな場所へたどり着くのか。それはどうか皆様の目で見届けてください。
読み終えた後にキュンとするような幸福感がいつまでも残る、素敵な物語です。