あとがきと解説
世間ではあやかし物が流行ってると聞いて、自分でも書けそうなあやかし物はないかと考えて出てきたのがこのお話。
この手の話で作中であれこれ解説するのは野暮だと思い、あまり解説はいれなかったのですが、やっぱ分かりにくい部分があるかも。
言うまでもなく、おばあさんの正体は摩周湖の中に浮かぶ島です。
「俺」は人間だった頃のおばあさんの孫の生まれ変わりです。
駐車場で出会ったヌプおじさんの正体はカムイヌプリです。
それでは、さっそくこの作品の世界観の解説を。
《作中に出てくるアイヌ語》
カムイトー…神の湖。摩周湖のこと。
カムイヌプリ…神の山。摩周湖の横にある魔周岳のこと。
カムイシュ…摩周湖の中にある中島のこと。
アイヌ…ここでは神に対して人間という意味。
イランカラプテ…ようこそ。
コタンコロクル…村のリーダー。
フチイ…おばあさん。
チセ…家。
《神達について》
アイヌの世界では万物に神——カムイが宿っているとされます。道具から動物に至るまで。そんな神々はカムイモシリ(神の国)に帰ると人間のような姿をしているそうです。
極めて人間的かつ人間と密接で、人の姿をして人里に降りてくることも少なくありません。
作中では、カムイヌプリは人間の姿になって駐車場で働いていました。
《摩周湖にまつわる伝説》
アイヌには色々な昔話があって、全て口伝です。
摩周湖には、孫とはぐれたおばあさんが悲しみのあまり岩になってしまったという悲しい伝説があります。他のバージョンもあったような?
《死後について》
アイヌの世界では「あの世」と「この世」があって、人が死ぬと「あの世」へ行きます。
しかし数世代くらい時間が経過すると、再びこの世に生まれてくるようです。この辺りの概念は曖昧のようですが、一応「転生」のような概念があったんですね。
ただしかなり時間が経過してからなので、死んで即転生ということはないです。そして、輪廻転生ともまた違います。
参考文献:
アイヌ民族博物館監修『アイヌ文化の基礎知識』 草風館
カムイトーの霧晴れるとき Mystérieux Boy @mysterieux_boy
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