世界の仕組みのこ

バブみ道日丿宮組

お題:混沌のふわふわ 制限時間:15分

世界の仕組みのこ

 世界の破滅を願うのは、きっと僕が1人だからだろう。

「できた? できたわけ?」

「まだできてません」

 家庭教師があっちにいったり、こっちにいったりと、部屋の中をせわしなく動いてる。

 僕はそれを視界に入れないように、ノートへと意識を集中させる。

「……あの、見えてますよ?」

 ベッドに座り込んだ家庭教師のスカートはめくれ、白い下着がこんにちわしてた。

「なに? 興奮しちゃうわけ? やりたくなっちゃうわけ?」

 恥じることもなく家庭教師は下着を強調するように、指で秘部を撫でる。

「そういうことをしないことは知ってるとは思いますが」

 僕は国から制限を受けてる。

「でも、してみたいって思わないわけ? こんな部屋で一生を過ごすの?」

「……どうでしょう」

 もしかしたら、いつか国が制限を解くかもしれない。

 そのときは……自由なことをしてみたい。

「もっとがっついてよ。そのためにさ、私こんな格好できてるんだから」

「……そうですか」

 国が制限してはいるものの、来訪者をどうしてもいい決まりがある。

 仮に子でもできようものなら、その来訪者は英雄扱いを受けるだろう。

 それだけ……僕のDNAは価値がある。

 だからこそ、生まれてからずっとこの部屋で生活をし続けてる。それは保護という名の牢獄。好きなことはできない。あと友だちもいないし、親もいない。

 あるのはこうして教育をしにくる様々な家庭教師。彼女たちは今までに様々な誘惑ごとで僕を試してきた。スク水、ブルマ、チャイナ服、ナース服、なにかのコスプレと。

 とても勉強するような格好じゃないものもあった。

 だけど、僕は徹底的に否定した。

 身体が反応しようとも、勉強に目を向けた。

 英雄になんてさせない。僕がこうして閉じ込められてるのは彼ら彼女らのせいでもある。なら、行動を起こす必要なんてない。

 だから、僕は世界の破滅を望む。

 外に出れない僕が願える唯一の夢だ。

 試験で満点を取ろうと、資格をとろうと、僕はこの部屋から出る許しを獲れないのだから。

「終わりましたよ」

「……そう」

 家庭教師は興味をなくしたのか、僕から試験用紙をとると、採点をはじめた。

 彼女たちの仕事は、僕を教育すること。そういう命令でここにきてる。もちろん、子を望んでるのだろうけど、僕から行動を起こさない限り、全て拒否される。

 なにかあれば、すぐに監視カメラで覗いてる監視員がやってくることだろう。

 だから、彼女は強く踏み込んでこない。


 そうして……今日も同じ日が続く。

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世界の仕組みのこ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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