質問系企画に参加したかった

深見萩緒

ビートルズキンからあなたへ十の質問。【テンプレ以外の異世界ファンタジーを求める読者および作家様にお聞きします】


イベント「ビートルズキンからあなたへ十の質問。【テンプレ以外の異世界ファンタジーを求める読者および作家様にお聞きします】」 https://kakuyomu.jp/user_events/16816452220413685802


 問3を語りたいがために回答したようなものです。楽しかったです。



1 「重厚なテンプレなしの異世界ファンタジー」とキャッチフレーズが書かれた場合あなたが最も期待する(これがなかったら読むのをやめる)のは次のうちどれ?

 心理描写と掛け合い。

 ギリギリかつ迫力のある戦闘

 美しい情景描写

 謎や伏線。

 残酷または悲劇的な描写

 【生活描写や文化面、階級制度など細かな世界観設定の正確さと整合性、完成度】 ←これ

 人物(または人とドラゴン)同士の人間関係や感情の変容 


 人間が「生きている」という感覚が好きなので、そこを感じたいです。作り出されたキャラクターではなく、その世界に生まれてその世界しか知らず、その世界で死ぬ運命の一人の人間なんだと実感できると、重厚だなあと思います。

 あと、これは個人的な好みなのですが、異世界に生きる人間の倫理観や価値観、人生観や死生観が描写されているとなお良いです。異世界の「異」の部分を強く感じたい。


 まあその、自分の作品でそれが出来ているかどうかはさておいて。



2  異世界ファンタジーにおけるあなたの思い描くドラゴン像をできるだけ細かく教えてください。


 「異世界ファンタジーにおける」だと、

・人語を話す。または人間に変身する。

・戦闘能力が高い。また、長命である。

・まれに絶滅している、もしくは絶滅の危機に瀕している。

・多くの場合は男性的である。

・空を飛び火を吐く。自然の力を操る。

・平常時は四足歩行である。

・体の一部(血や鱗など)が特殊な力を持っている。それを狙う人間がいる。

・特定の一族や国の守り神となっていることがある。

 

 「うちのファンタジーにおける」だと、

・爬虫類もしくは両生類型の超大型ミトラである。

・高い知能を持つが人語は喋らず、ミトラの言葉で話す。

・神と崇められることもあるが、あくまでミトラである。

・人間にはなれない。

 上記四点のほかはおおよそ「異世界ファンタジーにおける」と同じ。強くて長命で誇り高い生き物はロマンですね。



3 成長するにつれて鱗の色が変わり、鉄の玉を飲み込んで火の玉を吹くドラゴンを斬新だと思いますか?


 その他に付随する設定によると思います。

 この設定を見てまず思ったのは「なぜ鉄の『塊』ではなく『玉』なのか?」でした。自然界に完全な球など滅多にないと思うのですが、なぜそのドラゴンは「鉄の玉を飲み込んで火の玉を吹く」などという性質を持つに至ったのでしょう?


 例えば、もともと「鉱山近くに棲むドラゴンは鉄の塊を飲み込んで時間をかけて体内で溶かし、装甲として利用している」という生態があったとか。

 研究によって「鉄の『塊』ではなく『玉』を飲み込んだ時のみ、体内で瞬間的に超高温の炎が発生することが判明した」とか。鉄の玉が完全な球に近ければ近いほど、炎の威力は凄まじくなるとか。

 では、それを利用するのは誰でしょう。ドラゴン自身が製鉄の技術を持ち、自らが使う武器として鉄の玉を作るのか。神たるドラゴンが鉄の玉を捧げものとして持たせ、それを使って敵(他のドラゴンとか、対立国とかでしょうか)を討つのか。はたまた、生体兵器として人間に飼われているのか。

 デメリットはあるのでしょうか。一度でも玉を飲み込み火の玉を吐いてしまったが最後、どんなに鉄を食べても装甲を作れなくなり、果てには元々あった装甲すら溶かして火の玉を吐くようになり、鉄くずになって死んでしまうとか。鉄の玉を食べた雌のドラゴンは、卵の代わりに鉄の玉しか産めなくなってしまうとか。ドラゴンに鉄の玉を食わせて戦争をした国では三年に一度、人間が鉄の塊になってしまう奇病が流行るとか。

 などなど、考え始めたら止まりませんね。面白いと思います。



4 武器が大きさを自在に変えられる扇子だとしたら斬新と思いますか?


 なんかそういうの、某女子高生平安時代トリップ犬耳半妖漫画で見た。

 斬新かどうかはともかく、かっこいいと思います。

 たぶんそういうキャラは風使いだと思うんですが、実は風じゃなくて炎の能力者で、自分が出した炎を扇子であおいで(自力)火力を増すとかだと斬新だとは思います。ただ、絵面が完全にギャグになりますね。



5 その他ありきたりだなぁとおもって飽きている話や、こういう話はいらないというのはありますか。

 例:追放・チーレム・恋愛・作者自身がよくわかっていない神話etc


 ありきたりだなあと思えるほど小説を読んでいないんですが、チートを持ちながら無双するだけ(ギャグに振っているわけでもなく、ハーレムというほどハーレムでもなく、復讐するわけでもない。ただ無双して称賛されるだけ)の作品は、読んでいて「なんだ?」「なんだ……?」「なん……なんだ……?」ってなります。



6 異世界ファンタジーを読んでいて胸があつくなるとしたらどんな場面ですか?


 異世界ファンタジーに限りませんが、強大な敵に一矢報いるシーンはあつくなりますね。それが計画通りでも全くの偶然でも、一太刀浴びせてやった! という感覚は気持ちいいです。

 あとは、どうしても分かりあえないものたちが、ほんのわずかの間でも何かを共有するシーン。相容れないもの、互いを滅ぼそうとするものたちが、何ものにも侵されない一瞬を共有した。うーん、あつい。その後に破滅が待っていようとも、です。



7 あなたがキャラに同情する、共感するときはキャラがどんな運命に直面した時ですか、妄想でも構いませんのでお教えください。


 可哀想な目にあっているキャラにはだいたい同情します。自分の作品も、いつも「主人公、可哀想だな……」と思いながら書いています。強く生きてほしいものです。

 共感……は、あまり人物に感情移入するタイプではないので難しいですが、登場人物が楽しんだり喜んだりしていると、やっぱり嬉しくなっちゃいますね。

 


8 悲劇的なエンディング、まだやり直せる可能性のあるエンディング、ヒロインもしくは主人公の笑顔で終わるエンディング、これらのうちどれが一番好きですか。


 長編なら、なるべく悲劇じゃないといいなと思います。

 一番好き……は何でしょう。やはりハッピーエンドでしょうか。しかしこの、ハッピーエンドというものの定義が難しいところです。ある者が報われたならば、報われなかった者もいるわけですし。恋愛なんてそのものですけど、誰かと誰かが両思いになったとき、その裏には恋やぶれた者がいるわけです。

 世界には悲劇が溢れており、我々はその悲劇から目を逸らすことでしか幸福を感じることができない。

 というわけで、結局のところ「一番好き」は「メインとなる人物たちが力を尽くしたあとの、最良の結末」です。

  


9 受付嬢がラスボスなのは斬新だと思いますか?(こういう展開を書くかは未定)


 受付嬢って、ビルの入り口近くにいるお姉さんたちですか?

 彼女らがどうラスボスポジになるのか想像がつかないので、納得のいく過程が描写されていたら、面白い設定だと思います。



10  こういう展開になると思わず「おぉ」とか「面白い」とか声に出す展開はあなたの中にありますか(予想や妄想で構いません)。


 ありがちなのだと「敵と思ってたら味方だった」「味方と思ってたら敵だった」系は、ある程度の予測が出来ていたとしても好きです。

 あとは、「フレーバーに過ぎないと思っていたちょっとした描写が、実は重要な伏線だった」とか、「何気ない日常会話だと思っていたやりとりが、実は物語の根幹そのものを語っていた(メタ的にでも)」とか、そういうのがあると思わず唸ります。



 以上です。質問系の企画には始めて参加しますが、普段は考えないようなこと(ドラゴンの生態とか)を考えるきっかけになってとても楽しかったです。ありがとうございました!


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質問系企画に参加したかった 深見萩緒 @miscanthus_nogi

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