第11話 成長
ギルドマスターの乱入でギルド内は一気に騒然としてしまった。
「大体、なんでこんなに騒いでやがるんだ!」
眠りを邪魔されたせいかかなり不機嫌そうだ。
「彼らが、この子を馬鹿にしていたのよ」
さっきの魔法学園の生徒らしき子が答えた。彼女の目はとてもまっすぐで、自分の正当性を信じ切っているようだ。
「ガキを馬鹿にしてただって、そんなくだらないことで俺の眠りを妨げたのか!大体何でガキなんて馬鹿にしてたんだよ」
「そ、それはこいつがクラウスさんの弟子だって言うからつい」
「クラウスの弟子ねー。それでその弟子が一体何のようだったんだ?」
「竜の牙が住んでるところを教えてほしい」
「はぁー。そのくらい誰でも知ってるんだから教えてやりゃーいいのに」
そう言うとギルド長は竜の牙のすんでいるところを教えてくれた。何でも、彼らはこの国に二つしかないランク6のパーティーだけあってすんでいるところは有名らしい。
聞きたいことは聞けたので、ギルドを出て向かい始めると、後ろから声がかけられた。
「ちょっと待ちなさいよ!助けてあげたのにお礼の一つもないの」
さっきの魔法学園の生徒だ。それにしてもあれで助けたと思っていたとは。めんどくさいから一応お礼は言うことにした。
「ありがと」
「え?それだけ。助けてあげたのにそれだけなの?」
これ以上に何があるというのか。めんどくさくてお礼を言ったのに、さらにめんどくさいことになりそうだ。
「はぁー。だから平民に関わるのはやめようていったんだよ」
周りの子はどうでもいいどころか、関わるの自体反対だったらしく、もう帰りたそうだった。
「そんなこと言ったって困っている子がいたら助けるのが当たり前でしょ。しかもそれが平民ならそれは貴族の責務だわ」
「分かった分かった。ただ今日はもう帰ろうぜ。こいつももう困ってないし、お礼も言ってもらっただろう?これ以上何がしたいんだよ」
「そ、それはそうだけど」
かなり渋っていたようだけど結局了承して仲間とともに帰って行った。何だったんだろう。気にしてもしょうがないので竜の牙の家に向かうことにした。
彼らの家は貴族の家などが建っている区間にあった。しかも、周りの家と遜色ない大きさだったので彼らのすごさが分かった。呼び鈴を鳴らすと中から執事服を着た男がやってきた。
「リア様でございますね。お話は伺っていますのでどうぞ中にお入りください」
見事なお辞儀だった。中に入るとやっぱりすごくて執事さん以外にも使用人と言われる人が何人かいた。
「おう、リアじゃねぇか。思ったよりもはやくきたな」
中からクラウスが出てきた。そのあと部屋に案内され、またクラウスに外に担ぎ出されてしまった。
「おまえも動けるようになったから、今どのくらい戦えるのか見てやる。よし、かかってこい」
だが一向に武器を構えない。それどころか持ってさえいなかった。
「クラウス、武器は?」
「おまえごときに武器なんていらねぇって。そんなことよりさっさとこい」
かなり余裕そうだ。へし折ってやりたくなる。
「------【サンドウォール】」
サンドウォールで視界から姿を消して横から奇襲を仕掛けてやろうとした。
「オラ!」
声とともにサンドウォールが消え去った。その先には手を振り抜いた姿のクラウスが立っていた。
「おいおい、その程度かよ」
このまま行くしかない。今度は一直線にクラウスに向かって走り出し、ナイフを投げつけた。ナイフに対応している隙に攻撃をするつもりだ。だが。
「はっ!」
「え?」
私の投げたナイフはただの声だけで落ちてしまった。しかし、もう止まることはできない。手に持っていた短剣を振ってみるが案の定躱されて気づいたら夜になっていた。
「あら?起きたのね。じゃあくクラウスをよんでくるわ」
目が覚めるとローザがいた。どうやらあのあとクラウスに殴られてそのまま気絶してしまったらしい。差がありすぎた。まさかあんなに違うなんて。落ち込んでいるとクラウスが来た。
「大丈夫だったか?まさかあれくらいで気絶するとは思わなかった。というか今おまえのステータスってどのくらいなんだ?」
「前に見たときはレベル1だった。」
「レベル1?それはないだろ。おまえが倒れたところにはゴブリンの上位個体が死んでたんだぞ。今からはかってみろ」
そう言うと鑑定の魔道具を投げつけてきた。自分のステータスを見るのは久しぶりだ。自分ではあまり強くなった実感がないから不安だがはからないことには始まらない。とにかくはかってみることにした。
HP:40/26→43 MP:18/10→18 筋力:5→14 魔力:2→12 俊敏:9→20 耐久:6→16 器用:10→22 総合:32→84 レベル:1→2
スキル:【短剣術Lv.1】【投擲Lv.1】【隠密Lv.1】
「レベル2」
冒険者の中でレベル2とは、珍しい物ではない。だがレベルアップとは、自分の力が認められたときに起こるものだ。私が世界に認められた証と言うことだ。
孤児な少女の生活記録 香島アメ @inyxson
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