概要
ヒロインは物言わぬ死体。きみは誰だ。なぜ死んだ。なぜ死体は狙われる?
人体の生体パーツ交換が盛んになり、有機資源不足が叫ばれる近未来。
ここでは死体は資源とみなされ、提供することが当然とされていた。
シヅキ・J・ロウは、この時代では違法化寸前の火葬場を営む男だ。
ある冬の朝、火葬場に持ち込まれた少女の死体は、あきらかに死亡手続きがされていなかった。
死亡診断書はどう見ても偽名。火葬依頼人は姿を見せず、素性すらわからない。
火葬という『まともでない人間の送りかた』にふさわしくない、美しく端正な少女の死体。
あからさまに怪しい火葬依頼に戸惑うシヅキ。
だが膨らむ疑惑は明かされることなく、あろうことか、その死体は火葬前に何者かに盗み出されてしまう。
シヅキは依頼人に失態がバレる前に、死体を取り戻すことを誓うのだが……
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!徐々に全体図が浮かび上がり、細部が見えてくる
物語の進行の仕方に、まるでパズルのような印象を受けました。
意図的にパラパラと提示される情報(世界観や登場人物に関する)の断片。その背後には明らかにしっかりとした土台が見てとれるのですが、読者にはまだハッキリとしたことはわかりません。
物語が一人称で進むのが良いなと思います。(シヅキにとっては社会システムや過去のことは当たり前のことであり、わざわざ説明口調で思い浮かべるものでもないと思うので)
盗み出された死体を追うシヅキ、そしてそのシヅキを追う読者。
シヅキは死体を取り戻すために情報を獲得していき、読者は死体の行方と共に、物語に関する断片的な情報を獲得していく。
そうして、最初は曖昧だっ…続きを読む