なんやかんやで平和な一日
いや、二度寝も三度寝もしていないのに三度目の覚醒をするとは思わなかったわ。
オチ全く同じだったし、意味不明なパワーワードを新たに追加しちゃったし。
……その後数分間眠っていたらしい俺は、流石に朝食を取るためリビングに来た。
もう頭はグラッグラだし、追加で脇腹辺りも悲鳴を上げている。
酷い有様だが、これが俺と妹の日常なのだからなんとも解せないものだ。
そんなこんなで、母親が作ってくれたとっくに冷めているベーコンエッグを頬張った。
予想通り
そんな美由紀に、俺と変わって膝枕してもらっているのは妹である
何の気なしに眺めていたら、何故か嘲笑うかのような表情を向けてきた。あん?
兄妹揃って幼馴染LOVEであるため、こうして謎の取り合いが毎日繰り広げられている。
一応……いや、事実として、美由紀と付き合っているのは俺のはずなのだが。
……まあ、結衣がもし弟だった時は本当に面倒そうだから、まだマシかもしれない。
「ごちそうさま」
とりあえず朝食を胃袋に入れたので、俺は使い終えた皿を持って立ち上がる。
すると母親が洗ってくれるとのことで、お礼を言いつつお言葉に甘えることに。
なんとなく母親に心を読まれてる気がしないでもないが、とりあえずGO!
「あっ、もうらーちゃんってば……」
ソファの裏側に回り込み、俺は美由紀の首に腕を回して後ろから抱きしめた。
美由紀は擽ったそうに身を捩るが、そこにも萌えつつ俺は彼女の後頭部に顔を埋める。
家族目の前なのは分かってるけど、もう今更だから遠慮する必要はなーし!
深く息をするが、この甘い匂いがもう懐かしく感じてくるぜ……!
ありがとな、母ちゃん……その呆れたような顔にはちょっと物申したいけど。
そんな俺の腕に、平手打ちが一発。
「邪魔すんな!」
美由紀の膝上、結衣である。器用な事に、俺にだけダメージを通るようにしている。
いらん器用さを身につけるんじゃないよ。
ただ、俺としてはちゃんと結衣に気遣ってイチャイチャするつもりだったぞ?
こうでもしないと、俺は未だ不足し続ける美由紀ぱわーががががが……
え?あとどれくらいすれば、美由紀ぱわーが満タンになるのか……だって?
無論、あと推定70年〜110年だね!……つまり言えば、俺たちの寿命である。
まあ半分の冗談はさておき、鍛えられていない腕に平手打ちはかっなーり痛い。
これ以上は勘弁願いたいので、俺は腕を抜いてただ後頭部に顔を埋めることにした。
まあ、そっちの方が美由紀に対する顔の重力は増すんですけどね。
音がなるほどに息を吸い、俺は美由紀の匂いをただ嗅ぐことに専念する。
あっ、ちょまて変態とか言わないでくれ!
くんかくんかは流石にしないが、可愛い女の子の匂いとはとにかく良いものだろう!?
……ごめん、美由紀に限りだが普通に変態だったわ。……何言ってんだ俺。
「らーちゃん」
「ん?」
自分自身にドン引きしていたところ、美由紀が呼びかけてきた。
首を傾げるのは無理なので疑問符を浮かべると、美由紀はどうやらもじもじと体を捩らせるじゃありませんか。
「甘えたい……」
かわっ……!?
□
「……どんな体勢なんだこれ」
美由紀、ついでに忘れては行けない妹の要望を実現して、俺は一つ呟いた。
今、俺はソファに座り、その腕の中に美由紀、そしてその腕の中に結衣が入っている。
ちょっと説明が難しいが、とりあえずソファを三重で座っているという感じだ。
……美由紀の甘えたいという発言に、一番驚愕をしたのは結衣であった。
驚愕というよりは絶望か、結衣は美由紀を甘やかすことが出来ないのだ。
それつまり、甘えることも好きな美由紀を満足できないということである。
ここで俺の勝ち確(なんの?)なのだが、結衣もそれだけで引き下がることはしなかった。
それがこの、三重着席である。
自分で命名しててなんだが、コンパクトでかっこよくね?……んなわけないか。
ちなみにこれ、ソファの座面が広い、かつ俺が足を伸ばしてることで実現出来ている。
さすがに俺も平均レベルの身長しかないので、二人を包めるほど長い太ももは持ち合わせていない。
逆に包めるほど長い人いんのかな……
「みゆねえ〜……」
「らーちゃん、もっとぎゅってして?」
まあ、これのおかげで一石三鳥である。
美由紀は俺の胸に頭をぐりぐりでき、結衣も続けて美由紀に甘えられ、そして俺は続けて美由紀を抱きしめくることが出来た。
一つ難点を言うなら、二人とも持たれてくるからさすがに重力がキツいことくらいか。
そんな俺たちの様子に、<パシャ>というシャッター音が鳴り響いた。
幼馴染で恋人同士な俺たちは甘え好き。 さーど @ThreeThird
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