第二部:ドイツ語ヒロイン「マリー」登場(プロット)

 一年B組における和歌の居場所を作ってひとまず一難を乗り越えたと思った英紀。気が強い和歌は好みではないとは思って女としては見ていなかったものの、帰宅時に軒先で助力に感謝する和歌の仕草を見て英紀はついどきりとして意識してしまう。「和歌はもしかして俺に気がある?」と思春期男子が抱きがちな期待感を持ったのも束の間、突如聞きなれない言語で和歌を呼び掛ける声がする。


 真鶴家の玄関から声をかけるなり和歌に抱き付いて来たのはオーストリア出身の金髪碧眼の美少女マリーだった。ハリポタでエマ・ワトソンに憧れて以来白人フェチを発症していた英紀はマリーに目を奪われる。


 オランダ在住時代から和歌の親友だったマリーは帝東高校一年B組で問題が起き始めた当時、ヨーロッパで主流のSNSで和歌から相談を受けていた。しかし英紀達米沢家が問題解決に乗り出し、和歌も応じた結果、日本で主流のSNSに集中するあまりマリーとのSNS通信がおろそかになっていた。途絶えた連絡に居ても立っても居られなくなったマリーは実業家の父親に「友を救いに行きたい」と相談した。友のための心意気に感動した父は莫大な財産にモノをいわせて一家そろって来日したのだった。


 和歌を助ける気満々で来日したマリーは帝東への編入も決めており、HRの自己紹介では一年B組の面子がドイツ語が分からないのをいいことにその笑顔とは裏腹にいじめっ子への宣戦布告やレズビアンとも取れる発言をして通訳役の和歌を狼狽させる。(マリーはBL大好きで、異性愛者寄りのバイセクシュアル)以下は自己紹介。

【自己紹介】

「はじめまして。Marie Anne Schaeferです。和歌と同じオランダから来ました。和歌とはずっと親友同士で、和歌が日本に行ってからもずっと連絡を取り合っていました。もうキスまでした仲なんですよ。それで京都の学校にいた頃も悩んでいたのに、この学校に変わってからは連絡さえも返って来なくなったから和歌をいじめるクソ日本人どもを〆て醤油味のヴルストにしてやるためにはるばるオーストリアからやってきたんだ! みんなよろしくね!」

"Hallo, mein Name ist Marie Anne Schäfer, ich bin Österreicherin und komme wie Waka aus den Niederlanden.

Waka und ich sind schon seit der Grundschule befreundet, wir haben uns sogar schon einmal geküsst. Trotz ihrer Rückkehr nach Japan sind wir stets in Kontakt geblieben. Seit sie aber in Kyoto zur Schule geht, wirkte sie ängstlicher als zuvor, das ging dann soweit, dass sie den Kontakt zu mir komplett abbrach. Ich hatte das Gefühl, dass irgendetwas nicht stimmt, deswegen kam ich den ganzen Weg von Europa nach Japan angereist um den japanischen Mobbern eine Lektion zu erteilen und um Waka zurückzuholen".


 和歌はうろたえながらも自己紹介を友好的な内容に変えて通訳する。その後英紀と共にマリーに第一部の事の顛末を説明して誤解を解こうとする。説得を受けてマリーは「本当に解決しているのかひとまず今学期は一緒に学校生活を送って確かめる」と言って日本滞在の意思は変わらないことを告げる。(誤解は解消したけれどもせっかく遠路はるばる来たのだから仲の良い和歌と日本で過ごしてみたいというのが本音)


 その後第二部の本題に入る前に、英紀を憎からず思いつつあったのにマリーが着た途端にマリーの事ばかり聞いてきて通訳扱いする英紀に業を煮やす和歌を描く。マリーは異文化コメディ要員なので今後日常パートでマリー(ボケ)、和歌&英紀(ツッコミ)でコメディも織り交ぜる。以下会話例

【三角関係】

和歌「またマリーにする質問の翻訳? いい加減にしてよ! 私は辞書じゃないの!」

英紀「ええぇ? なんで怒るの? そりゃ英語がまだ分かんないのもあるけどさ。和歌の友達のこと知りたいじゃん?」

マリー「Yeah, he is right. Why are you getting so mad at him Waka?(そうだよ和歌、なんで彼にそんなに怒っているの?)」

和歌「I'm not getting mad at him!(怒ってなんかないんだから!)」

マリー「Oh...... yeah sorry. I got it. You are mad about him, not mad at him.(え……ああごめん。分かった。あなた彼に怒っているんじゃなくて、彼にぞっこんなんだ)」mad about=夢中、ぞっこん mad at=マジギレ

和歌「Marie knock it off! Do not take me around!(マリーは黙ってなさい! からかわないで!)」

マリー「Ach wirklich? I'm gonna be knocked up by Waka! Which do you want a boy or a girl?(あら本当? 私ったら和歌に孕まされちゃうの!? 男の子と女の子どっちがいい?)」※knock it off=やめる、黙る knock someone up=孕ませる

和歌「I said knock if off! not knock you up!(黙れと言ったの! 孕ますなんて言ってない!)」

マリー「Ha ha ha! Es tut mir leid Waka. but angry Waka is so cute!(あははっ! ごめんね和歌。でも怒ってる和歌ってカワイイ!)」

英紀「なんか分かんないけど二人ともとにかくごめん!」


【異文化コメディ会話1】

マリー「ハッローヒデキ! 今日もクリスティアーノ・ロナウドのヘアスタイルをキメてるネ!」

英紀「モルゲン、マリー。(独・Guten morgenの略)キメてるってヤク中のラッパーみたいじゃん。それを言うなら決まってるな」

マリー「ヤク……? ラッパーみたいなの? じゃあ、ヒデキキマってます」

英紀「ああぁ違う! そうじゃなくて」

マリー「何? ヒデキが言った通り決まってるって言ったじゃない。何かゴキゲンなドラッグでもガンギマリなんじゃないの?」

英紀「そっちは知ってんのかよ! 和歌、もう無理。助けて」

和歌「えっ? 私も初めて聞いた言葉があるから分かんないよ。でもなんでマリーは知っているの?」

マリー「やおい本のタイトルにあったんだヨ。『ガンギマリ〇〇』って」

英紀「……ごめん、もう話題変えようか」

マリー「えぇ、すぐにやおいの話は嫌がるんだから。分かったヨ。今度日本語レッスンの時にフミアキとハルカに聞く」

英紀「ちょい待って! 俺が説明するから! 父さんと治姉だけはやめて!」


【異文化コメディ会話2】

マリー「ありがとう、ヒデキ! 今度仕返しするね!」

英紀「恩を仇で返す気満々だな」

マリー「ヒデキ、あたしはあなたが優しいと思ったからありがとうって言ったんだよ。でもエッチなのはだめだと思うな」

英紀「いやもう俺の発言のどこを下ネタだと思ったのか分かんないよ。和歌、助けて」

和歌「また通訳するの……? 通訳の度に嫌らしい言葉を言わされるの嫌なんだけど……」


【異文化コメディ会話3】

マリー「相変わらず和歌はプライドが底無しに高いねぇー」

和歌「それ、低いのか高いのか分かんないよ」


【異文化コメディ会話4】

マリー「おはよう英紀! 今日はサッカーの日だね! ミラミラしてる?」

英紀「ミラミラって……何だよそれ」

マリー「あれ? ミじゃなかった? じゃあマ?」

英紀「待って! それも違う!」

マリー「じゃあム?」

英紀「それも違う! ああっ! 全体的にマ行はヤバいんだよ。炎が燃え上ってる感じのメラメラ以外は全部だめ!」


【異文化コメディ会話5】

マリー「あ! 英紀! 大丈夫だった!? 怪我はある?」

英紀「ある? って聞かれるとあってほしいみたいだな。まあ大丈夫だよ。かすり傷だけだ」

マリー「そうかぁ、良かった。心配したんだよ。不幸中の災いで良かったネ!」

英紀「マリー……、実は俺のこと嫌いだろ?」

マリー「そんな訳ないよ。アタシは英紀を憎くないと思ってるよ」

英紀「その笑顔から察するに憎からず思ってるのね……」

マリー「何その顔? 男の子はツンデレより素直な方が可愛いよ」

和歌「私もそう思う」

英紀「いや和歌はつっこみに回ってくれよ!」


 ちょっとした日常を挟んだのちに第二部本題となる問題が起きる。突如やって来た金髪碧眼の美少女留学生は英紀のみならず他の男子も魅了していた。そこで流山ら進学校に何故かいるおバカ達が学年の女子で誰が可愛いと思うか一学期からSNSの男子スレッドで行っていたアンケートをこともあろうかクラス全体スレッドで公開してしまう。最新のアンケートでは不動の一位だった姫野がマリーにその座を奪われて二位に転落したことがゴシップ誌のように煽って書かれていて女子達から非難を受ける。そして姫野はこの事件を機に学校を休みがちになる。匿名アンケートであったため誰が誰に投票したかは分からなかったものの、クラスの男子ほぼ全員が投票していたことが投票数から女子にバレた。アンケートは和歌の転入時も行われていて、その時は「転校生の和歌ちゃんは間違いなく可愛いがあと一歩力及ばず今回は3位!」と書かれていたので和歌も女子達と共に憤慨する。英紀や冴上が率先して男子達をまとめ上げて全員で女子達に謝罪することで男女間に完全に亀裂が入らずに済むものの、姫野の不登校の問題が残る。


 姫野の欠席が続く中、学校は文化祭の季節に入る。HRで出し物を決めようとするものの出てくる意見はメイド喫茶や執事喫茶、射的、屋台などのありがちなものばかり。「何かオリジナリティがあるものがいいけれどダサいのは嫌だ」という意見を聞いた英紀はそこで閃いて、あえてダサい服装でファッションショーを行う提案をする。閃いた理由として日常パートで目にしたマリーの残念な日本語Tシャツ姿があった。マリーは一部で和歌が着ていた残念Tシャツをプレゼントした張本人で、外国人が浅草の土産屋で買いがちな漢字Tシャツを好んで着ているのだった。更に自分のダサい英語Tシャツをからかわれたトラウマを逆手に取ってジョークにしてしまおうとして思いついたのだ。「B組は美男美女率が高いからこそそのギャップでウケる」という英紀のプレゼンで出し物が決定する。


 クラス全員揃っての文化祭実施のために英紀達は姫野の自宅を訪れて登校再開を促す。同行者は英紀、和歌、マリー、冴上、桜木と小石川ら姫野の取り巻き二名。小石川達はアンケートで姫野の比較対象とされたマリーの同行を快く思わないものの、頑として譲らないマリーに最終的に折れる。


 英紀達は姫野家に上がって「アンケートの評価など大したことはなく、姫野もマリーに全く引けを取らずに魅力的だ」と説得するも、姫野の返答から見当違いであると判明する。姫野は外見の評価でマリーに負けたのが悔しいのではなく、パイロットになるべく文武共に頑張ったり、クラスの雰囲気を良く維持するために気を配っていたのに結局は外見的な評価ばかりが先行していたということが分かって虚しくなっていたのだった。


 英紀達が誤解を素直に謝ると、特に内面に深く惚れこんでいた冴上が「また学校に来てほしい」と熱弁を続ける。マリーも説得に加わる……というよりも「白人と東洋人の外見的な魅力はそもそも異質なもので比べるべきでない。私は東洋人特有のきめ細かな肌や艶があって滑らかな髪が大好きだ!」と自分の趣向をプレゼンする。(マリーには少しバイの気がある)それらを受けて姫野は再登校を承諾する。


 説得の帰り道に英紀は冴上に「あれだけの熱弁を振るうならばまた告白すればよかったのに」といじくるが、冴上は「落ち込んでいるところにつけ入るのはフェアじゃない」と言って受け流す。


 文化祭当日、久しぶり登校した姫野にB組は歓喜する。しかし出場を期待されていたファッションショーがダサファッションショーだと知って姫野は一時的に拒絶反応を示す。結局は残念漢字Tシャツを着てノリノリでランウェイを歩くマリーに触発されて出場する。ファッションショーでは「笑ってはいけないチャレンジ」というチャレンジ企画も並行して行われていた。口に水を含んだ状態でショーを観賞して、吹き出さずに耐えられたら賞品として希望のモデルとツーショットが撮れるというもの。これがウケてB組の出し物は大盛況で文化祭を終えた。


【マリーの残念漢字Tシャツ案】

嗜虐心 裏面 恍惚

泡姫 裏面 アリエル

癇癪持ち 裏面 平常心

一騎当千 裏面 四面楚歌

豪華絢爛 裏面 没落貴族

相思相愛 裏面 私利私欲

陥没乳首 裏面 百人一首もしくは事実無根

百発百中 裏面 想像妊娠

処女受胎 裏面 酒池肉林


 文化祭の片付けのおり、冴上は姫野に改めて告白をして姫野は受け入れる。冴上は一度振られた過去や気高い姫野のたたずまいから再びの告白に臆病になっていたが、ダサファッションショーで見せた恥じらいながらも笑顔でランウェイを歩く姿にこれまでにない親近感を感じて、臆する気持ちに姫野と付き合いたい気持ちが勝ったのだった。姫野も第一部で語られた騒動の頃から冴上に好意は持っていたのだが、騒動を解決してすぐに付き合っては今度は自分が嫉妬の対象になるかもしれないと恐れて最初の告白を断っていたのだった。


 B組男女のカースト頂点がカップルになり、B組のクラス全体の幸福度が盤石になったところで第二部終了。


 第三部以降は学期ごとに世界各国からのゲストおよびゲストヒロインを交えて進める。

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俺は英語が嫌いだ!~第一部・美少女転校生はマルチリンガル帰国子女~ かずきー @masaki0087

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