ぬいぐるみ

季節外れにやってきた転入生は、僕らにしか分からない、
「あの膜」を被っていた。

それは、剥いだばかりの皮でぬるりと覆われているような、
生臭くてあたたかな人間の膜。

表情を作り青春を演じながら、
その膜の中でジッと息をひそめて生きている。
それが僕たちだった。

性別も道徳も理性も超越したところで
今もただ、生きている。蠢（うごめ）いている。

普通と異常の境目を、わかっているようでそうじゃない、
そんな僕らが出会った。


そうして、転入生の誕生日を迎える。